第十一師団
① 攻城準備期間に於ける給養
此の時に方り各部隊共脚気患者の続出するありて師団軍医部長は麦飯給養を企望せる為八月六日より米五合、麦一合の割合を以て混用を励行したるに変敗速にして到底三食を一時に分配する能はす依て一食は重焼麺麭を用いしめ尚第一線部隊に限り炎熱の間強て麦飯を励行せしめさりき
② 第一回総攻撃間及其の以後の給養
(1)兵餉は梅干入の握飯と為し之を焼き副食物は牛肉缶詰、乾塩魚肉又煠鶏卵を分配せり但し最初は飯包布及菜包布等を用いたるも之を回収する能はすして遂に空箱、叺等に填入し
(2)3食分同時に炊爨分配するときは変敗の恐れあるより一食は重焼麺麭を用いたる
もの多し
③ 総攻撃中止後の状況
此の時脚気病漸次猖獗と爲り新患者四百八十余名を出すに至り軍医部長は麦飯励行の急なるを主張せるにより八月三十日挽割麦の混合量を改め日量中の一合を一合五勺に増加したり
各師団の旅順攻囲戦間の現地調弁における主な食品(動物性たんぱく質)
第一師団
① 第一回総攻撃以後
生牛 75頭
豚 33頭
鶏 50羽
② 第二回総攻撃以後
生牛 1,752頭
豚 2,375頭
羊 429頭
③ 第三回総攻撃以後
生牛 799頭
豚 2,652頭
鶏卵 1,379貫
魚 8,112貫
第九師団
① 攻城準備間
生牛 33頭
豚 133頭
山羊 200頭
鶏 1,419羽
鶏卵 4万5千個
炎熱の為斃死せるもの亦少からす(山羊73頭)
② 第一回総攻撃以後
生牛 約47,000貫
豚 約23,000貫
山羊 3,000貫
鶏 3,200貫
鶏卵 3,900貫
③ 第二回総攻撃以後
生牛 約27,800貫
豚 8,300貫
山羊 3,000貫
鶏 6,400貫
生魚 2,700貫
鶏卵 2,900貫
野菜 約60,000貫
④ 第三回総攻撃以後
生牛 61,000貫
豚 11,300貫
山羊 7,250貫
鶏 4,200貫
生魚 6,150貫
鶏卵 2,650貫
野菜 約59,200貫
第十一師団
① 攻城準備間
食麺麭 346貫
生牛肉 290貫
豚肉 950貫
鶏肉 41貫
鶏卵 2160貫
生魚 950貫
乾魚肉 30貫
野菜 10,400貫
② 第一回総攻撃以後
生牛肉 1,500貫強
豚肉 3,200貫弱
羊肉 300貫弱
鶏肉 1,300貫弱
鶏卵 4,250貫強
生魚 8,000貫弱
野菜 47,000貫弱
③ 第二回総攻撃以後
生牛肉 2,100貫
豚肉 14,600貫
鶏肉 1,480貫
生魚 5,000貫
鶏卵 1,646貫
野菜 37,600貫
豆腐 1,140貫
④ 第三回総攻撃以後
生牛肉 3,800貫
豚・羊肉 3,850貫
鶏肉 1,260貫
生魚 5,670貫
鶏卵 2,180貫
野菜 90,100貫
豆腐 2,640貫
第三軍経理部旅順攻囲間現地調弁高から主な食品(動物性たんぱく質)
牛肉 40,984貫
豚肉 4,617貫
鶏肉 3,450貫
羊肉 271貫
獣肉 4,477貫
魚肉 9,543貫
鶏卵 2,995貫
生野菜 46,434貫
馬鈴薯 3,065貫
豆腐 1,140貫
続く