5年ぶりに訪れた長期休暇も残す所あと1日となった。
 また地獄の日々がやってくる。あ~もういやだ。
 取り合えず現実逃避する。

 ボールトBoldとは「Uボート総覧」大日本絵画、によれば

 ソナー装備の追跡艦を混乱させる目的の化学装置である。直径100㎜
(3.9in)の金属缶に水酸化カルシウムをつめた構造で、特製ランチャー
から放出された。放出すると海水がバルブからしみ込んで水酸化カルシ
ウムと反応、濃密な水蒸気泡のスクリーンを発生させる。バルブの開閉
で缶は平均水深30m付近を浮遊、20~25分間攻撃側のソナーに対
する偽の標的となり、Uボートが微速で離脱できるようにした。1942年
以降独海軍でひろく用いられた他、日本海軍へも供給された。
 とある。

 日本海軍でのボールト製作など私は聞いたことが無かったのだが、あ
る所にはあるのである。

   B剤の製造
 ドイツが潜水艦の防御兵器として、一種の水溶性樹脂を用いた発泡剤
を使い、駆逐艦が出す超音波をはね返しているとの情報により、海軍は
はその物質の究明と製造のための検討会を開催した。この発泡剤の一成
分である水酸化カルシウムを外側から覆って水を徐々に浸透させる粘結
性樹脂の成分が問題であったが、当社が人工樹脂ポリビニルメチルエー
テルであるとの実験結果を発表したため、海軍は当社にその製造を依頼
してきた。
 軍の秘密のためB剤といわれたこの薬剤は、黒崎工場のアルカチット
工場で昭和19年末から生産に着手、20年4月に初めて製品を納入し
た。海軍からモノマーの供給を受け、これを当社が重合するものであっ
たが、当時は出動できる潜水艦も少なくなり、当社の納入した製品も殆
ど使われず、終戦までに約3tを製造したにとどまった。また、モノマ
ーの合成も行うよう要請を受け、設備の建設を進めていたが、資材不足
のため完成をみないまま中止された。
 「三菱化成社史」三菱化成工業株式会社
   昭和56年6月1日発行 より

 なお、水酸化カルシウムなどどこにでもある化学薬品です。

  参考文献
 「Uボート 世界の艦船増刊」1999年