戦中、伊八号潜水艦がドイツから持ち帰った物の中に、
「アテブリン錠 3,490,000錠」
がある。これは、マラリアの予防・治療薬で、昔日記にも書いたのだが日本でも作られていたが、絶対量が不足していた為、送ってもらった。
蘭印を占領する事により、キニーネを大量に供給出来る様になったが、キニーネの効かないマラリヤや、予防効果の差によりアテブリン錠も絶対に必要だったのである。
昔書いた以外にもアテブリンの国内生産について書いた物があったので書き写す。
医薬品では、マラリア特効薬のアテブリンの新規企業化を行なっている。これは太平洋戦争の勃発により南方での軍事作戦上マラリア特効薬が不可欠となってき たためである。それまでドイツから輸入していたが独ソ開戦により輸入が途絶していたため、陸軍の要請により原料ジエチルアミノエタノールおよびアテブリン 年産2トン製造のため設備転用工事に着手、昭和18年からこれを原体とする“アクリナミン錠”の生産を開始した。続いて19年には陸軍から5トン、海軍か ら2トンの増産要請を受けて原料のジエチルアミノエタノールの増産工事を含めて工事に着手したが、資材不足のため工事半ばで終戦を迎えた。
「三井東圧化学社史」三井東圧化学株式会社
平成6年3月29日発行
「伊号潜水艦訪欧記」
2006年3月15日発行 光人社