前に「マグネシウム合金なんて知らない」と書いたら、心やさしい方が
チョットだけ教えてくれました。それからは、気にかけて関係するような本をチラホラ眺めています。
「写真週報 第四十四号 昭和13年12月14日発行」
のテーマは
「独逸の代用品」です。
独逸は欧州大戦に際し物資欠乏によって最大の苦悩を嘗めた国であった。当時独逸においては多数の科学者が動員され、得意の科学的独創力とゲルマン人独特の頑張りによって多数の代用品の発明を完成した。然しながら代用品工業は科学的に資源を創造する工業である。それは原料を全然本質的に異なる他物質に変化せしめる化学的操作を前提とする。従って代用品工業の振興には多年にわたる研究と多くの経験の集積が必要である。この意味では大戦当時の代用品工業は不成功であったといわねばならない。しかしこの貴重な経験と教訓とが今日の独逸における代用品工業の基礎をなし、且その発展の大きな要因をなしているのである。
各国における代用品工業の特質は各国の原料供給の状態によって異なる。然しその共通する所は代用燃料、代用繊維、代用ゴム、人造樹脂等の工業がその主流をなしていた事である。
そして紹介されているのは
①魚皮で出来た靴、ハンドバック
(日本でも鮫皮を使った話は聞いた事があります。北海道の先住民族であるアイヌは鮭皮で靴を作っていました。)
②合成樹脂で金属、木材、陶器の代用
コーヒーポット、砂糖入れ、コーヒー茶碗、ミルク入れ、皿、盆
(今では当たり前)
③人造ゴムのタイヤ
(さすがドイツ、昭和13年の時点ですでに形になっています。)
④金属マグネシウムで銀の代用
見た所、銀のクリーム入れと変らないが、これは実は新発明の金属マグネシウム製だ。
(依りによってマグネシウム合金・エレクトロンでミルクポットを作るとは)
ドイツではマグネシウム合金の材料であるマグネサイトなどは、自国領内で潤沢に採掘され、アルミニウム原料であるボーキサイトのように自国内で採れないものではなく、100%国産可能な金属でした。
国民自動車(フォルクスワーゲン?)のクランクや変速機箱などもマグネシウム合金で作っていたようです。
ドイツマグネシウム生産高
1926年 300トン以下
1931年 2500トン
1933年 5000トン
1937年14000トン(世界総生産高27000トン)
戦前、戦中、日本でのマグネシウム生産高は1944年が最大で、内地2577トン、朝鮮・台湾・満州で2548トン、合計5125トンです。
ところで、エレクトロン、メタノールに弱いようだけれどMW50使って大丈夫なのかな~
引用・参考文献
「ドイツにおける『工業原料自給の科学』」訳者 内田源兵衛
昭和18年8月30日発行 経済図書株式会社
「ドイツ工場技術全書『軽金属』」訳者 橋本正一
昭和27年2月5日発行 資料社
「マグネシウム及び其の合金」三ヶ島秀雄
昭和15年8月20日 アグネ出版