[歴史群像] 太平洋戦史シリーズ 39
  「帝国陸軍 戦場の衣食住」

 出るとは聞いていたが、ここまで書いてくるとは思いもよらなかった。この値段でこの内容、絶対に手元に置いておくべき本である。例え、これ以上の本が出来ても値段が高くなりすぎるであろうし、そんな本を買う物好きは「精神を病んでいる」。
「衣食住」の内、「食」にしか興味のないプリンス、それでもほとんど
知らないことばかりだった。プリンス性格が捻じ曲がっているので、これから「食」について書いても、食品製造学、食品栄養化学、農学の立場からしか書けなくなってしまいそうである。つまり今後は「重箱の隅を突つく」ことしか出来そうにないのである。
 この本では引用・参考文献が書かれていないが、プリンスがチョット
引っ掛っている本を2冊紹介しよう。

 「ビスケット工業史」編纂者 森永太平
  昭和26年1月刊 発行者 全国ビスケット協会

 この本は鉄砲伝来・・ようはヨーロッパ人との交流の中でビスケット
もどきが渡来し、そして、昭和26年までのビスケットとそれに関連する物の通史である。この本の中では「乾パン」についても詳しく書かれ
ている。軍用乾パンについてはイマイチ分りにくい記述なのだが、なんせ他に乾パンについて書かれた本をプリンスは見たことがないので、大変貴重な本である。ただ、戦中の軍用乾パンの詳しいレシピと製造方法に一度はお目に掛かり、じっくりとあらゆる方向から検証したいとは思っている。(それらしいレシピもあるのだがプリンスの趣味には合わない。)

 「社史 アルミニウム五十五年の歩み」
  昭和32年4月15日発行 日本アルミニウム工業株式会社

 日露戦争前、日本で始めて大阪砲兵工廠ではアルミ製飯盒や水筒を作りはじめる。そしてそれをすぐ追うように民間のアルミ器物製造業者(砲兵工廠技術者も加わる。)が生まれた。日露戦争中の兵用の飯盒や水筒は砲兵工廠で全部つくられたが、将校用のアルミ製飯盒や水筒、兵用のアルミ製各種食器はすべて民間で作られた。これらについての詳しい話が載っているのがこの本である。食器の内容一覧などとても興味深いものがある。そして時代が下るとエレクトロン(マグネシウム合金)焼夷弾の弾体製造や航空機用アルミ製部品製造などおもしろい話も出てくるのである。