「七十年史」日本セメント株式会社
昭和30年10月1日発行
昔、家業が水道屋だったので、学生時代セメント袋を担がされたり、バケツの中でモルタルを練らされた事がある。そのせいかもしれないが、セメントには興味がある。日露戦争の時の旅順要塞、日本軍に立ちふさがった「ペトン」はセメントが無ければ成り立たないのであるが、上記の「七十年史」を読むと、旅順要塞で使われたセメントも外貨獲得の為、輸出された日本の物だった可能性があることが分る。また戦前、セメントの配合材料の一つであった「石膏」エジプト等よりの輸入にたより、戦時中、輸入が途絶し、いったい何処から入手していたんだろうと、ここ二年ほど頭を悩ましていたのだが、なんのことはない国産で充分間に合っていた事がこの本で分った。また、戦時中のセメントの運送形体なんであったのか、結構疑問に思っていたのだが、これまたなんのことはない現在と変らず紙袋入りだったのである。いやはや悩みは尽きないものである。