地方のミリタリーマニアの知識なんてたかがしれているので、本に書かれていれば「ああ、そうなんだ」と鵜呑みにしてしまう。第2次大戦でもドイツがソ連の「コーカサス油田」を真っ先に占領していれば、ドイツが勝っていたのにと書かれていればそうだったんだと信じていた。
「ドイツ第三帝国のソ連占領政策と民衆 1941-1942」永岑 三千輝
平成6年9月1日発行 同文館出版株式会社
を会社近くの地区の図書館で見つけ眺めていたら、ちょっと話が違うのである。
1942年2月末のドイツ側の予測では
○ヨーロッパ枢軸国の石油月額需要量は115万トン
○備蓄は1941年8月末には消費されてしまう
○産出と輸入で月量85万トンは調達可能
○月量30万トン不足
○コーカサス油田は月産225万トン
○全ロシアの産出量の90%(こんど調べてみる)
○占領地域のロシアの農業と工業が必要とする月当たり90万トンと枢軸国自身が必要とする月当たり30万トンを供給できるようには修復可能
○陸路で大ドイツ領域に運べるのは10万トン
○残りはダーダネルス海峡、エーゲ海経由の海路しか利用できない
ということは、「コーカサス油田」を占領してもソ連がドイツと講和して、パイプラインでも敷設しないかぎりドイツは石油を使えない。でも現実にはなんとか戦争を続けていけたのだから、どうにかはなっていたんだ。
#1 by MUTI on 2010年7月24日 - 1:15 PM
Quote
ああ、このような貴重な記録の紹介にコメントがつかないとは…
というものの、正直どのようにコメントするべきなのか…
(こん回の、第三帝国の件に付いては、日本語外の世界ではある程度知られている話なのかも知れませんが…)
#2 by hime on 2010年7月28日 - 12:30 PM
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ドイツの航空燃料のほとんどが、人造石油で作られていたのは衆知の事実なのですが、じゃあ、それがすべて石炭を原料にしていたとは思えない所があります。航空燃料のほとんどをまかなっていたと思われる水素添加法、石炭<コールタール・タール(石油)<重質油(石炭)の順で収量、作業性が良かったはずです。以外とドイツの人造石油といわれるものが原油蒸留後のタール・重質油など石油から原料も主要な物を占めていたのではないかと夢想しています。(コメントありがとうございます。コメントのコメントになっていませんが。それとコメントが無いのは本当は誰も読んでいないからです。)