就職のための諸手続きで走り回っている中、次の本を見つける。

「第二次世界大戦史② ノモンハン事件とドイツの対ソ戦準備」
   ソ連共産党中央委員会附属
   マルクス・レーニン主義研究所編
   訳者 川内 唯彦
   弘文堂 昭和三八年一一月三〇日発行

 ソ連が輝いていた時代の仮想戦記である。ノモンハンといえば仕事も忘れる姫、妻の目を掠めて買い求める。

「日本第六軍の兵力の大部分は包囲、殲滅された。七月から八月までのあいだに日本軍の損失は戦死者だけで一万八八六八人、負傷者二万五九〇〇人であった。五月から九月までの全期間にわたる日本軍の総損失は将兵五万二〇〇〇-五万五〇〇〇人に達し、そのうち戦死者だけで約二万五〇〇〇人であった。ソビエト=モンゴール軍部隊の損失は戦死者、負傷者合わせて九八二四人であった。
 ソビエト=モンゴール軍部隊は八月攻勢の期間だけで、つぎのような戦利品を鹵獲した。重砲三〇門をふくむ火砲一七五門、機関銃三四〇挺、小銃一万二〇〇〇挺、砲弾四万二〇〇〇発、実包約二〇〇万個、その他多くの軍事資材。五月から九月までに日本軍は六六〇機を失い、そのうち二〇四機はわずか八月二十日から三十日までに空中戦で破壊されたものである。ソビエト空軍は二〇七機を失った。」

 当代一流の軍事研究家といわれる人間ですら年齢さばをよむのであるから、戦果ごときどう書いても構わないのである。だけど、ああ~砲弾が四万二〇〇〇発、軍用機が六六〇機もあったらなと思うのが地方の一ミリタリーマニアの感想である。