「日本戦争経済の崩壊」アメリカ合衆国戦略爆撃調査団 正木千冬訳
日本評論社
日本の戦時経済を語るにあたってバイブル的存在である上記の書、実はそこに書かれた数字に姫は絶対的信頼を置いていない。戦後書かれた企業社史などを読み重ねると、その数字の違いに気づく。戦後の混乱期に例え絶対的権力を持っていた占領軍といえども正確な数字を拾うのには無理があったのだと思う。
姫が戦時中の資源問題を考えるときには企業社史と共に、戦時中の資源の解説書に目を通す。ただ、戦時中のそれらの本を鵜呑みにしてしまうと、それらの本には「バラ色の夢」が埋まっており、それを信じでもしたなら、日本が戦争に勝ってしまうのである。
東印度諸島(旧蘭印)
東印度諸島には殆んど鉄鉱の分布が行き渡って居り、一般に西部は接触鉱床、東部は残留鉱床である。重要な鉄鉱はスマトラ南部のランポン州の諸鉱山(2000万㌧)、北ボルネオのスルヴァンジ(2000万㌧)、セレベスの中央湖水地方(33,000万㌧)セブリ島3億㌧、ジャバの南海岸(3500万㌧)ラウト島附近のセブリ島(17,000万㌧)それにセレベス中部のマリリ附近(200万㌧)であるが、品位は一般に低く、総埋蔵量16億㌧と称されるうちに約8割内外が製鉄技術に困難な残留鉱床の鉄鉱であり、フイリピンスリガオのラテライトと同様な蛇紋岩から導かれたラテライトがある。従来蘭印の主要な鉄鉱は第一次世界大戦後屡英、米、蘭の資本により開発されようとしながら今日まで放置されて来たものである。
「支那の鐡・石炭と東亜」手塚正夫
昭和18年2月20日発行 朱雀書林 より
日本占領下の蘭印からの日本への鉄鉱石移入の数字を見たことがない。現実的には諸般の事情によりその開発する必要性すら認められない。
さあ、ハローワークに行こう。