「陸軍燃料廠」石井 正紀
光人社NF文庫
について、なぜ感想を書かないのか?と思っている人もいるだろう。
そこで、本日購入した。
一、二気になった記述がある。
日本ではイソオクタンを製造する為、ブタノールを必要としていた。
「戦時中は砂糖(糖蜜)を発酵させて得られるブタノールを原料にして製造する方法の研究開発に着手していた。戦時中、子供たちが甘い物を口にすることができなったのはこのためで、国内の半分に近い砂糖がイソオクタン製造のために回されてしまったのである。」
戦前、戦中日本でのブタノール発酵の材料は玉蜀黍(とうもろこし)甘藷(さつまいも)が主だった。海軍が台湾で計画した設備は糖蜜(砂糖?)で作るものであった。また、国内で砂糖で製造するよう予定された設備も、ほとんどブタノールを製造することなく、アルコール(エタノール)製造に振り向けられた。そもそも、戦前、戦中日本でのエタノール生産の主な材料であった糖蜜とは砂糖(ショ糖)製造に付随してできる廃棄物(ショ糖以外の糖類)であり、砂糖と糖蜜を同列に扱うのは不適切である。戦中、子供たちから奪った砂糖で作られたエタノールは工業用(燃料もふくむ)として、はたまた合成酒用として大人たちが飲んでしまったのである。
戦時中の飛行訓練におけて多発した戦死(殉職?)の原因を
「多くは、劣質な航空燃料に起因したエンジントラブルのためだったのではなかろうか。」
と述べているが、プリンスはそうは思わない。教育、機材、燃料全ての物が十分ではなかった。当時の大日本帝国自体が不十分だったと考えている。まだまだ「航空燃料諸悪の根源説」は生きていた。
さて私事だが、わが愛車が会社帰りに今月2回目の修理工場行きである。さすがに廃車寸前の車とはいえ、主人と同じく毎日毎日会社に行くのが嫌になったのであろう。ところで、明日からどうやって会社に通うか?