小国民理科の研究叢書
 「訂正版」 自動車の理科研究
          著作者 宇井 芳雄
          発行所 研究社
          昭和16年12月20日 初版発行
          昭和17年9月15日  第6版発行
          定価 1円50銭

 もう1月余りも休みがありません。。フラストレーションが溜まり気が狂いそうになったので、宿直明けの日、会社を抜け出し古本屋に行ってきました。
 生まれつき頭が悪いせいか、メカと電気の事はまったく理解できません。このまま放置していても構わないのですが、大家さんに怒られそうなので、少しは改善すべく、プリンスの知能程度に合致すると思われる上記の本を大枚500円をはたいて購入してきました。
 この本はすごい。当時の小国民は侮れません。「オクタン価」に「人造石油」ですよ。 どこかの質問コーナーでだいの大人が議論しているというのに・・・第一、人造石油の話の中で「直接液化法」「フィシャー法」「油母頁岩」の説明がでてくるのです。これを読んでいればどこかの質問コーナーで立派な解答者になれます。
 戦車の解説の所で次ぎのような文章がありました。
「満ソ国境ノモンハン事件を思っただけでも、ぐっと身の引きしまる思いがするではありませんか。」
 身を引き締めるのは「小国民」ではなく「陸軍関係者」ですね。

 などと、これから、ぼちぼち、プリンスの読んだ本を紹介していきますので興味のある方は覗いてください。

 では、話は変って、現代の小国民の話をひとつ・・・・・
 去年の暮れ、クリスマスの聖なる夜に、理由(わけ)有って親と暮らす事の出来ない子供たちの施設のクリスマスパーティーに何故か入り込んでしまいました。その中に小学校4、5年生の褐色の肌をした女の子がいました。普通であっても肌の色が違うというだけで、人間として区別される日本の社会で、親の庇護がないという事がどれほど辛いことであろうか、私はそっと下を向いてしまいました。
 私が料理を置いたテーブルの脇に立っていたところ、ふと気がつくと件の女の子が目の前にいました。その子はテーブルのチョコレートケーキを見ていました。
 そのチョコレートケーキにはありふれたクリスマスの飾りである「砂糖で出来たサンタさん」と「メリークリスマスのチョコレートプレート」が載っていました。私はア~と思い彼女にこう言いました「持っていったもん勝ちだよ」、そして彼女の皿の上に「サンタさん」と「メリークリスマス」を置いてあげました。自分が子供の頃、家族で囲んだクリスマスケーキ、ちっとも美味しくないのに「サンタさん」と「メリークリスマス」は欲しかった。彼女にはこの経験がおそらくないのでしょう。
 席に戻った彼女は一人、皿の上の「サンタさん」と「メリークリスマス」を見つめていました。

 「あなたはもうこの夜の事を忘れているかもしれませんね。でもおじさんはクリスマスの夜が来るたびに、クリスマスケーキを見るたびに、皿の上の「サンタさん」と「メリークリスマス」を目を輝かせて見つめていたあなたのことを思い出します。」