最近、このひなびた北海道の隠れ里の挫折振りを笑う者がいるという,実に嘆かわしい事である。これはきっとアレである。去年の夏に千歳空港に置き去りにした事を、根に持っているのであろう。さすがに都会で「一流の研究者」と言われる人間は違う。この首差し出して許しを請うたのだが、案外「執念太い」 
 それに比べて国本様の人間の大きさ。何事も無かったかのようにメールを送ってくださる。そこで、今回はかの偉大な人物についての、とってもヒューマンなお話を書こうと思う。これは実話である。

 去年の春、困窮に疲れた生活を打開すべく行われた「東京出稼ぎ」も終わり、その夜の上野発札幌行夜行列車に向かう途中、一度だけご尊顔を拝し奉ることがかなった国本様に恵比寿の駅に呼ばれた。しばし歓談の後、ホームにて国本様はこうおっしゃった。
「プリンス、どうせ土産を買う金もないのであろう。ご家族にこれを持って帰りなさい。」(シブイ!)
 差し出されたのは富士の裾野の「戦車煎餅」だった。
 列車から遠ざかる東京の町並みがゆがんで見えたのは、その時急に降り出した雨のせいじゃない。(なお恵比寿で酒代を恵んでくれた人物もいたのだがそれはソレである。)

 挫折と言えば当コーナーのチーフディレクターである小笠原様、プリンスを誤解していたようである。我が陋屋は小笠原様のお宅とおそらく数キロしか離れていないと思うのだが、なぜかお会いした事が無い。当コーナーの開設に当り、一般人であれば当然理解できるであろう「書き込みの仕方」をメールでご教示いただいたのだが、さすが常人とは違うプリンスさっぱり分らないのである。ヨコハマ造船所の「ふりげいと様」が「プリンスさん。メール出せるようになったんですね。」と感動したのは、ほんの数ヶ月前だったのである。携帯電話未だにメールの使い方がわからない。
 と言うことで小笠原様が匙を投げると「座敷牢」は消滅するのである。