デビューマンは、少年画報社のヤングキングに連載されていたギャグ漫画、作者吉本蜂矢。
その一巻にて示された才能は注目に値する物で、もしこの密度、テンションで続けることができたならば、鴨川つばめになれただろうと思う。絵は同時代性をキャッチしており、バカで下品と若者受けする作風である本作品は、青年誌というジャンルで看板となる条件を高いレベルで満たしており、ヤングキング編集部が過大な期待をかけたことは想像に難くない。
しかしてその期待が、新人吉本蜂矢には過大なプレッシャーとなったからか、彼は江口寿史になってしまった。ついこの前初の単行本を出したばかりの新人がだ。
普通ならば即切りだと思うのだけれど、彼の才能を認めるヤングキング編集部は、三回終了の短期集中連載にシフトするなどして、寛大な対応を見せた。しかし、その短期集中連載でさえも、連載二回目で原稿を落としてしまった彼は、当たり前のように干されてしまったのである。
そして数少ないコアなファンの記憶からも薄れかけていたというか、ほぼ忘れていた、2005年9月に、なぜか二巻が出た。ちなみに一巻が出てから七年目である。
たったの二冊分であれど、そこには、きっと鴨川つばめや江口寿史がまだ健在であったら、こんな漫画を描いていたのではないだろうかと思えるものがある。特に一巻の描き込みは尋常じゃない。そして二巻の画面の白さも落差が激しい。
きっと完全燃焼の全速力で、身を削りながら描いていたのだろう。しかし燃料が少なかったので単行本一冊で燃え尽きてしまったのだ。
というわけで、おすすめです。
このエントリーで初めて、アマゾンリンクを生成するプラグイン、wp-amazonを使ってみた。ホントなら画像出るんだけど、デビューマンは画像なかったよ。