Asiaは、UKを解散したジョン・ウェットンが、3分間のプログレというコンセプトで結成したスーパーグループ。ジョン・ウェットン(ex:キングクリムゾン) スティーヴ・ハウ(ex:イエス) カール・パーマー(ex:ELP) ジェフリー・ダウンズ(ex: バグルス)と、超一流のメンバーが名を連ね、初期コンセプトに違わぬ、プログレなんだけど、ラジオにかけられる曲の長さで、しかもキャッチーという楽曲でアメリカ市場で人気を博した。
その勢いのまま、バンドはMTV主催の世界初のライブ衛生生中継という企画に抜擢される、こうして周囲の期待を受けて始まった、日本ツアーであったが、この直前にヴォーカルのジョン・ウェットンが突然の脱退。その代役として急遽、元ELPのグレッグ・レイクが抜擢される。しかし、この当時のレイクは完全にだらけまくり肥満しまくりの時期であり、その様たるや、 ウルトラマンタロウに抜き打ち出演した団次郎などという生ぬるいものではなく、最も多かった呼び名はサム・ハン・キンポーであった。
で、そのマイクスタンドの前に立ったサム・ハン・キンポーが、ちゃんと声を出し、ベースギターを弾く指も動けば、ビジュアルのみの損失で済んだのだが、その両方ともメタメタであったため、このAsia in Asiaという名を冠した世界初衛生生中継企画は失敗という形で終了するのである。
しかして、他のメンバーがレイクの体たらくにやる気をなくす中、ただ一人奮起していたメンバーがいた。キーボードのジェフリー・ダウンズである。彼はプレイの合間にも大げさに盛り上がって見せ、途中ショルダーキーボードを抱えてステージ前に出て、ショーを盛り上げようと縦横無尽に走り回る。その姿がなんともいじましく、多くのロックリスナーの目には、「ジェフリー・ダウンズ=いいひと」として写ったのである。いいひとは、その後バンドから自分をのぞく結成時メンバーが全員抜けた後も、バンドにとどまり続け、サバスにおけるトニー・アイオミのごとくバンドの看板を守り続けたのであった。
で、そのAsiaがつい昨年にオリジナルメンバーで再結成との報が伝わってきた。また今年の三月には来日していたらしい。そんな話を聞いたら久しぶりに聴いてみようかという気になったのであった。
Then & Now
90年発表の半ベスト半新録アルバム。この時点では三枚しかアルバムを出していなかったバンドなので、ベストとしては片面で十分なのである。
この中でも特異なナンバーは Wildest Dreams。たかだか5分の曲の中にギターソロとドラムソロが入っている。ギターソロとキーボードソロというのは、ハイウェイスターなんかもそうだけど、ドラムソロというのは珍しい、がカール・パーマーという人は「お前がソロやるならオレにもソロをやらせろ」というのが、まかり通る環境で生きてきたドラマーなのだ。この曲ではドラムソロが終わって30秒で曲が終わる。ドラムソロいらないじゃん。
まー、それはいいとして Don’t Cryはやっぱりいいなあ。あの出だしのハウのギターは何度聞いても胸が締め付けられる。なんというかアノコロを思い出すのであります。