「第二次世界大戦とフランス領インドシナ―「日仏協力」の研究―」
   著者 立川京一 彩流社 2000年5月25日発行
をたまたま読んでいると、フランスの「対独協力の実際とその成果」について書かれていた。最近、ドイツ占領下の国々や同盟国の軍需生産、資源をチマチマ調べている人間には堪えられない話だった。この文の参考文献に
 「西洋史学 166号
    占領下フランスにおける対独経済協力
     ―航空機生産共同計画をめぐって―   剣持久木(53P)」
と云う論文がある事を知り、捜してきた。
 昔、ウィーンの空港で飛んでるところを見た事があるJu-52を、エンジン毎、フランスで作っていた事を初めて知り、てっきり完成後、押収したエンジンを載せていたと思っていた大好きなヘンシェルHs129のノーム・ローンエンジンがわざわざ新造されていたことを知り驚いた。
 上記論文によればドイツ向けに新造されたエンジンの数は
1941年
  フランス型(ノーム・ローン等)   1,927基
1942年
  フランス型(ノーム・ローン等)   1,247基
  ドイツ型(BMW132等)        751基
1942年
  フランス型(ノーム・ローン等)   2,310基
  ドイツ型(BMW132等)      2,669基
1942年
  フランス型(ノーム・ローン等)     678基
  ドイツ型(BMW132等)      1,637基
合計
  フランス型(ノーム・ローン等)   6,162基
  ドイツ型(BMW132等)      5,057基
となる。
 さて、実際にノーム・ローンエンジンを搭載した機体の生産数から、エンジンの必要数を割り出すと、予備・補用を考慮に入れなくても

 ヘンシェルHs129     ノーム・ローン14M(700hp)
  1942年 219機
  1943年 414機
  1944年 225機
    合計  859機  1,718基

 メッサーシュミットMe321/323 ノーム・ローン14N(1,140hp)
198機  1,188基

 Go244B    ノーム・ローン14M4/5
   133機以下  266基
  
 合計  3,172基
となり、けっして少ない数字ではなかった事がわかる。(それに比べて日本の占領地の貧しいこと・・・・・)

引用・参考文献
「航空ファン別冊 No.49
  第二次大戦ドイツ軍用機」
  平成元年10月5日発行 文林堂