「ノモンハン美談録」関東軍司令部内財団法人忠霊顯彰會内 梨岡 壽男
   昭和十六年十月十八日発行
 今年の正月に大好きな黒豆と一緒に買ったと思う。軍用犬と言えば「渥美清とシェパード」かソ連の「地雷犬」、後は地下壕を捜す米軍のワンちゃんぐらいしか知らないミリタリーマニアなのだが、生まれて始めて目にする日本の軍用犬の話である。

      陸軍軍曹  山崎友吉
    昏倒するも任務を忘れぬ軍犬班長
 八月二十四日八時…攻撃前進を開始した。
 この時有線の通信網が出来るまで、部隊本部と隊の連絡は軍犬班が当ることになり…
 第一信、第二信と、銃砲弾、飛び交ふ中を、山崎軍曹は軍犬を使って確実に連絡した。

 鳩通信の話は出てこない。
 ところでノモンハン事件の主役といえば当然、第七師団なのだが、何かよく分からないのが第八国境守備隊の存在である。戦史叢書によれば歩兵20中隊、砲兵3隊(1隊1.5中隊換算)と6中隊、工兵4隊、野(山)砲24、十榴8、中迫28、十加8、十五加8、高射32とあり、九四式軽迫のソ連側の捕獲写真があるのに日本軍の迫撃砲の使用状況を書いた話を見た事が無いのである。
 引用・参考文献
「戦史叢書 関東軍〈1〉対ソ戦備ノモンハン事件」防衛庁防衛研修所戦史室
 昭和四十四年七月七日発行 朝雲新聞社