今月の吼えよペンは久しぶりに面白かった。
長期連載からぶりサービス の最終回を間近に控えた富士鷹ジュビロが、目一杯広げた風呂敷をどう畳むかで悩むという話。
そこで、富士鷹と炎尾が、どう畳もう、どうやって着地させよう と悩むんだけど、そこに同席した同期漫画家流れ星が、不思議そうな顔でこう言う。「なんで畳まなきゃならないの?」「なんで着地させなきゃならないの?」「別にいーじゃん。それまでが盛り上がれば」
そういやそうだよなあ。思えば、各所にさんざ伏線を張って盛り上げて、最終回までにすべて決着をつけるなんて事は手塚御大くらいにしかできない芸当なのかもしれない。この世には畳まれない風呂敷の方が遙かに多いのだ。
自分が今までで一番印象に残っている風呂敷といえば、やはりスケバン刑事に出てきた学生刑事No.1だな。
スケバン刑事は話の途中で、暗闇警視率いるサキら学生刑事が追放されて、信楽老とつながりのある派閥が学生刑事を組織する。こいつらがNo.1から5までいて、初登場では車田正美ばりに顔に影が入っていて、不適に笑ってたりするのだ。
んで、5から順次、サキへの刺客として激闘を繰り広げるんだけど、これがNo.2まで出たところで止まって、最強と名高いNo.1は登場しないまま、ラスボス信楽老の屋敷への突入というところまで話が進んでしまった。あれだけ、最強と煽りまくったNo.1はいつ出てくるんだと思っていたら、「オレが学生刑事No.1だー!」と突如なんの脈絡もなくサキの前に現れて、サキのヨーヨー一閃であっけなく倒されるのである。その間わずか半ページ。名前すら与えられずあっさり消えてしまった。強敵だったNo.2までがNo.1は比べ者にならないくらい強いと煽りまくっておいてこれかよ。
畳まれなかった風呂敷の話は、思い出し始めるときりがなさそうなので、ここでヤメ。
同じサンデーGXに連載されているBLACK LAGOONも読む。うーん、これはやっぱりラブストーリーなんだろうか。
> 最強と煽りまくったNo.1はいつ出てくるんだと思っていたら、「オレが学生刑事No.1だー!」と突如なんの脈絡もなくサキの前に現れて、サキのヨーヨー一閃であっけなく倒されるのである。
もう話が青狼会との対決になってましたからねぇ。あれでグランドスラムに至る大きな話にならず、学生刑事対決の話になってたらしょぼかったろうと。でも、やっぱり伏線引いたから、とりあえず出してくれたんでしょうねぇ。『スケバン刑事』は完結してることだけでも偉いです。
しかし、この和田作品の最高傑作『スケバン刑事』、『少女鮫』のメイキングを読むと(『新宿鮫』ってあるけど、『少女鮫』ってどない? という雑談があったそうな)、ひょっとすると同様に面白い言葉の組み合わせでタイトル作ってそこからストーリー考えた? とかねがね疑っているのですが、
そう、伏線というか、タイトルなんですが、連載開始時にはもちろんインパクトだけでつけてるんだろうけど、それを後から何とか理由付けしようとしてくれる作者さんが何人かいらっしゃるのですが、あれは…、そこはしてくれなくても、といつも思うのです。
前述の『少女鮫』も何度「じゃあ鮫だ」みたいなシーンがあったことか。『天は赤い河のほとり』のタイトル理由付けシーンも「天」みたいな概念をどうヒッタイト語で伝えてるんだと。(わたしはこれが一番心残りなのです。)
みなさんはタイトルに理由があったほうがやっぱりいいんでしょうか?
和田慎二が原作を担当した、リオンのあとがき漫画では、ガンガンチュアポケットというワンフレーズから、アイデアを膨らます様子が書かれてますね。
個人的にはスケバン刑事とピグマリオでやりたいことを全部やっちゃって、燃え尽きちゃった人だと思うなあ。最近は原作ばっかりですね。