伊藤へろ君の十五ヶ月計画

 用あって、伊藤へろに電話。話しているウチに、向こう十五ヶ月はずっと忙しいとかぬかしはじめたので事情を聞く。

「なんでまた?」
『いやね、来るべき二十一世紀をきれいな体で迎えたいなと思ったわけですよ』
「きれいな体って、なんじゃいな?」
『まず、借金を片づけて。それから完膚無きまでに散らかりきった自室の整理整頓を』
「で、それを二十一世紀までに達成しようと?」
『そそ。名付けて「十五ヶ月計画」』

 ほう。
 なんというか、その名前からして共産国家の経済計画臭がプンプンすること、この上ない計画だ。
 よろしい。ではねちねちと揚げ足を取りつつ口撃して、その夢のような将来構想を粉々に吹き飛ばしてやろうではないか。

「ほんで、順調なの?」
『うん、それが最近とうとうドール趣味に足つっこんじゃって』

 ばかもーん!
 人がツッコミを入れようかと思った矢先、いきなり自分から最大級の墓穴を掘るんじゃなーい! 少しは「じらし」というものを入れろ、「じらし」というものを。
 まったく、キスなし、前戯なし、後始末なしの「三なし野郎」とは、おまえのことだっっ!

「ドールっつーと手製のアニメのおねーちゃん?」
『や、ジェニーなんだけど。これがスキンに間接の継ぎ目がないスグレ物で』
「はぁ、そうすか」

 まあ、なんつーかツッコむまでもなく自滅決定だな、こりゃ。

 ほんで、へろとはこの後、「や号作戦」についての相談をして、電話終了
 「や号作戦」とは?
 それはヒミツです。

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