日本潜水艦史(新版)

 世艦の日本潜水艦史が20年振りに改訂されました。旧版に比べて写真が多い・興味深い写真もあるのに加え、旧版や丸スペで見た気がする写真でも、デジタル処理のお陰で綺麗に見えるというのは有り難いと、思いました。個人的には、要目でニヨニヨ出来る点がある・特中型は海軍が持て余していたズ式一号機関の再利用が先ず頭にある計画であるとかを中川先生にご注進したい気がする、等もありますが、そこらを含めても日本潜水艦スキーなら旧版所持者でも手を出して良いと思える内容だと思います。あとまあ、旧版と本文項の内容が被っていないので、旧版をまだお持ちで無い方は、この際ついでに古本を買っておくと幸せになれるかもしれません。

 …閑話休題、あの本の中では貴重なページを私の駄文にも阪さて頂く光栄に浴しておりますが、あれについてちょっと捕捉と修正を。九五式二型の弾頭形状ですが、基本的には米軍の戦後調査資料が言うように二型には尖塔型の「二型頭部」が付けられているとされています。尖塔型は元来九五式魚雷の一大欠点だった高速設定(49ノット)で自爆が多発するのを防ぐ目的で、浅深度設定(3m)航走時に弾頭部分で発生する空洞現象に起因する大振動発生を抑えることを目的として採用されました。この形状の弾頭装着により魚雷の流体性能が改善され、馳走速力が上昇する(米軍資料に拠れば、通例の場合で丸型頭部に比べて+2ノット程度)ことも期待出来ましたので、これは期待の高速魚雷であれば、この型式の弾頭を採用するのは当然と言えます。ただその一方で、二型の試験時の速力が一型の最高速度とされる49ノットを割り込む例も少なからず発生しているのも確かです。さらに本文でも記しました九二式方位盤の能力制限もあり、通常型の丸型頭部をもつ二型もあったと推測されています。本文では言い切った格好になっていますが。実際には推測が混じっていますのでここに追記の上でお詫びを申し上げる次第です。
 なお、九五式一型についても、戦争中に尖塔型頭部が採用されたと言われています。これは昭和一八年頭頃には採用されていたという話もあるのですが、この時期に平行して改修生産が進められていた九六式魚雷(馳走速度は殆ど九五式と一緒で、空洞化現象問題も同様に発生する)では尖塔型頭部が採用されていませんし、空洞化現象による自爆帽子のための浅喫水目標への攻撃制限が昭和一八年末期でも問題として認識されていることから見て、この時期には尖塔型頭部型があったとしても試験運用等の小数のみで、恐らく本格採用されたのは昭和一九年以降の話だと思われます(昭和一九年八月以降に小数生産された磁気信管装備の頭部が尖塔型なので、存在したのは確かです)。またそれ以降の磁気についても、「あ」号作戦後の潜水艦の大量喪失もあり、昭和一九年秋には九五式一型が相当数余っているので二型は生産しなくても良い、と言われる状況にもなっていることからみて、その九五式の在庫の中には相当数の丸型頭部のものもあったのではないかと考えています。

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