Archive for 8月, 2011

丸の見本誌を読む&その記事の訂正

 この暑い中一生懸命働いている偉い郵便屋さんが、先方都合で思いっきり遅れている某社の校正項と一緒に丸の見本誌を届けてくれたので、昼食を食べながら斜め読みしてみた次第。そしたら一箇所間違いがあったので、ここで訂正させていただく次第。

P72に「大淀」「仁淀」が潜戦旗艦になった後の先遣部隊編成予定表のところで、そこの下側に

「(兵力的にそれまでの一個潜戦に相当する)」
とありますが、これは

「(兵力的にそれまでの二個潜戦に相当する)」

が正しいです。故に戦時に旗潜一と、潜水隊三個がさらに加わると、構想通りの「三個潜戦を指揮する旗艦」となるわけであります。

 毎度毎度のことで申し訳ありませんが、読者の皆様に陳謝する次第です。

 …つーか、最近ここは完全に懺悔日記になっているな(汗)。

八八艦隊本、再度の訂正

 読み返してみて、また八八艦隊本の説明不足&誤記を見つけたので説明の追加と正誤を。
今回はP76の二段目にある新造時の「長門」型の砲弾の話。

 まずあれに書いた三年式徹甲弾という名称は正式なものではなくて、被帽徹甲弾のうち三年式被帽を付けたものを指しています。只の被帽徹甲弾だと、ボフォース式とかハドフィールド式とかシュナイダー式とかいろいろな被帽徹甲弾があって区別できないのと、旧海軍資料で三年式被帽付きの物を三年式弾と仮称している例があったので、それに倣いました。

 本題にはいると、長門の最初の被帽徹甲弾ですが、被帽自体は以前の戦艦と同じで三年式です(呉海軍工廠造兵部資料集成に三年帽を付けた新弾は一四インチ弾から一六インチ弾に進んだとあります)。本文の記載だと三年式とは別と捉えられますよね。どうも分かりづらくて済みません。

 ただし被帽は同型式ですが、本型用の物は同弾の装甲貫徹力増進のため、「長門」型の整備時期に開発が行われた八年式二号信管(大正八年八月内令兵14で採用の遅動式信管:遅動は恐らく0.1~0.25秒:20㎝砲以上の被帽徹甲弾用として採用)を付ける計画がありました。これの成績不良で旧来の三年式弾同様の三年式一号信管(弾底着発式:ほぼ瞬発)が付けられたので、旧来の砲弾同様早爆や不発弾、衝撃に弱く自壊しやすい砲弾となり、完全に満足できる性能は発揮できませんでした。

 …というわけで、P76二段目8行目の

(三年式一号信管:遅動時間0.25秒)は完全な誤りで、
(八年式二号信管を装備予定<遅動推定0.1~0.25秒>だったが、ほぼ瞬発の三年式一号信管を装備)
になります。

またそれに続く9~14行目を、

「それ以前の戦艦が搭載した同型の三年式徹甲弾より装甲貫徹力を含めて良好な性能を持つはずだったが、新型の信管が機構的問題から使用停止となった影響で、以前と同じ信管を装備したため、早爆を含めて旧来と同じ問題を抱えてしまい、完全に満足できるものにはならなかった」

に訂正させていただく次第です。

読者の皆様には再度陳謝する次第です。本当に申し訳ありません。

…つか、「金剛型」ではちゃんと説明していたのに、何でこんな説明不足&誤記をしたのだか。
以後こういうことが出来るだけ起きないよう、精進しないといけないと思うと共に、気をつけないといけないと反省する次第です。

高木先生からの御指摘&それに伴う八八艦隊本内容訂正

 八八艦隊本を読んだ「蒸気機関の碩学」であらせられる高木宏之先生から、機関についての怒りの訂正メールを貰った次第。色々と指摘されたんだけど、取り敢えず、こちらの手持ち資料の記載と合わないのを除いた下記二点を御紹介。

高木先生からの御指摘(1):

>P96

>加賀・天城両型の主機が艦本式のように読めますけど、

>両型とも技本式で、パーソンズ・インパルス・リアクション式に

>直並列制御を加味したもので、後年のいわゆる艦本式とは

>名称も方式も異なります。

>あと「愛宕」だけでなく「加賀」もブラウン・カーチス式です。

 本文で長門の機械を艦本式と書いたように、艦本式と一般的に記載されることが多いのでそれに従った・技本と艦本の記載がごっちゃになるのがイヤ、等の理由もあって、本文では艦本式と記載しましたが、高木先生の御指摘が全面的に正しいです。

 

 …下段の「加賀」はブラウン・カーチス式という御指摘については、こっちの参考資料だと技本式とされているので、断定できませんが両説あると言うことでしょうか。「加賀」型のうち「土佐」はパーソンズ式、という説もあるので、この両者はどっちも技本式じゃない可能性もあるわけですね。これは以後良く調べないといけないなぁ、と思った次第です。

上を書いた後の追記(2011/8/4):

上を書いた直後に、高木先生から送られて来た旧海軍資料に、空母改装後の「加賀」の機械は「ブラウン・カーチス式」と明記されていましたことを御報告する次第。というわけで「加賀」の機械は技本式ではなくてブラウン・カーチス式で間違いありません。高木先生、わざわざ資料を送っていただき、本当に有り難うございました。

高木先生からの御指摘(2):

>P97上

>天城型は5缶室でなく6缶室です。

 これは完全なこちらの記載ミス&チェックミスによる見落としの結果の誤記です。誠に申し訳なき次第です。これに続く煙突の下りも、「前部煙突が前の缶室三室、後部煙突が後ろの缶室三室を受け持つ」となります。

 以上2点につき、読者の皆様方に訂正の上、謝罪申し上げます

 また御指摘戴いた高木宏之先生には、こちらでも感謝申し上げる次第です。

 この他の点については、今度高木先生と一緒にお酒を飲む&資料を見せてもらいながら、良~く説教を喰らって目からウロコを落とそうと思います。内容について確認できたら、またここで御報告いたいと思います。

学研 八八艦隊計画

 毎度締切に追われる中で、題記の本が届いたので読んでみた次第。

…企画決定からもの凄い短納期で仕上げた割には、良く纏まったなぁ、と思える出来ではあるかなぁ。ただ「長門型Ⅱ」の企画だったのが、気がついたら「八八艦隊」になっていたので、題記の本としてはちょっと未消化部分があるかなぁ、というのが本音。できれば巡洋艦以下の戦備や計画ももう少し掘り下げて書きたかったですね。

 あと今回の本、校正が完全に反映されてないようなので、一部おかしいところが生じています。取り敢えず気がついたのが、第三章の「加賀型と天城型」の章のP94の二段目9~19行目で、

元文章:

この両型が採用した連装砲塔は、外見的には「長門」型と大差はなく、砲の仰角も同一とされる。「加賀」型の物は最大仰角が三五度に増大されたとする資料もあるが、砲術側の資料にはこれを裏付けるものが無く、「A一二七」の原案である「A一二六」~「A一二六c」では最大仰角三〇度であることが確認できるので、筆者は「加賀」型も三〇度のままであったと考える。

改訂後文章:

この両型が採用した連装砲塔は、外見的には「長門」型と大差はないが、最大仰角は三五度に向上したとする説がある。だが「加賀」型原案の「A一二六」各案および「A一二七」の図面と、単煙突となった「軍艦天城・赤城 一般艤装図」の図面では、砲の最大仰角は三〇度となっている。これから見て、この両型の砲の最大仰角は「長門」同様に三〇度だったと思われる。

 …という案配です。

 あと所々、P81三段目14行目/30行目やP81四段目18行目、P85二段目の26行目等々で

「軍令部および用兵側で~」という記載が散見されますが、「軍令部および艦隊を含めたその他の用兵側~」を詰めた結果、おかしくなったようです(素直に「艦隊側」と書けば良かったな、と反省)。軍令部も用兵側ですから、この表記だとおかしいですよね。ここに訂正の上に謝罪させていただく次第です。

 この他にも、なんか修正点等を見つけましたら、ここにまた書きたいと思います。

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