PC空母戦ゲームの最高峰とも言われる”Carriers at War”のリメイク版がMatrix Gamesから発売されたので買ってみました。
彼処のリメイク作品は基本的に「旧版を綺麗にしてみました」だけの作品が多いのですが、これもその予想を裏切らずに「旧CAWが綺麗になっただけ」の作品でした。まあ、これは旧作のCAWが「空母戦PCゲームとしては、ある意味やるべき事をやり尽くしたゲーム」であるため、ある意味直しようがなかったことも影響していると思いますが、旧作を持っている人間としては、少しは何か改善された点があるのかと思っていただけにちょっと残念でした。
「Win2000/XP/VistaでCarriers at Warが出来るのは利点」という意見もありますが、”Complete Carriers at War”がWinXP上で堂々と走ってしまう作品なので、これも余り本作の利点とは言えないでしょうね。(この他にネット上で「損傷艦の艦隊分離が出来るようになったのは進化」という意見も見ましたが、あれは追加シナリオ&システム改善が行われたエクスパンションキットである”Carriers at WarⅡ”では既に実装されていました。その後に出た”Complete Carriers at War”では、何故か「損傷艦の分離」機能が再省略されたので、幻の機能となってますが)。旧作より UIがより洗練された点は評価出来ますが、旧作のUIも悪い物ではなかったので余りこれもメリットにはならない気がします。
逆に新作では沈没艦のグラフィックが無くなったこと、ゲーム上での航空機の性能を把握出来る画面が 無くなる等の改悪点があるのが気になりました(DOS/Mac版の初代Carriers at Warには沈没艦グラフィック無かったから、それに合わせたのかな、とも思いますが、あれは一応艦のCG部に「茫漠たる海原」の絵を出して沈んだことは分かるようにしていたからなぁ)。シナリオ数がDOS/MAC版初代と同じ6に減少したことも減点対象でしょう(元祖AppleⅡ版の4に比べれば多いけどね)。あと今のところ未だプレイ回数が少ないので断言出来ないのですが、泊地攻撃で基地・港湾攻撃の攻撃隊と対艦攻撃隊を同時に出すと、全機が対艦攻撃に向かってしまうなど、航空攻撃のルーチンにバグがあるような感じがするのも減点対象になるように思われます。
それとこれはもう好みの問題ですが、ゲーム終結時の画面が些か旧作に比べて「ニヤリ」とさせる演出が無くなったのも残念です(珊瑚海海戦でプレイヤーが日本側で戦略的勝利を収めると、「ポートモレスビーなんかに用はないんだ。来られるモンならブリスベーンにまで来てみやがれ!」とかの負け惜しみの捨て台詞が表示されるとか、旧作のラストメッセージは中々味があって好きだったんですけどねぇ)。
現在までのところの感想としては、旧作の”Complete Carriers at War”を持っていない人なら購入されても作品と思いますが、”Complete Carriers at War”をお持ちの人であれば、これは急いで購入する必要は無い作品のように思われます。
ただまあ元から評価が高い作品のリメークであるだけに、本作でも旧作同様今後”New Carriers at WarⅡ”等のエクスパンションキットが発売されることにより、更により良い作品になっていく事が期待されますので、PC空母戦ゲームが好きな方であれば、本作の今後の動向は注目しておいた方が良いと思います。