アメリカ空母二題

 先日(16日)は世艦の「アメリカ航空母艦史」の発売日でありまして、当日に私も見本誌を受け取ったわけですが、それと一緒に相当前に米国アマゾンに頼んで、すっかりと忘れていた映画の「Hell Divers」も届いたので、「あら、今日は米空母付いている日だね」と思った次第。

USCV_02

 世艦の本は手堅い作りで、写真も総じて綺麗なので、御興味がある方は本屋で立ち読みの上、ご購入を検討して頂ければ幸いです。個人的には提供した写真が結構な枚数使用して頂けてたので、それの綺麗な映像を眺めながらムフフ出来るのが良き哉であります(写真提供者の最初に本職の名前が出ているのを見るとチト恥ずかしい気もしますが)。

 さて「Hell Diver」の方は、ストーリーはありがちな気はするし、特撮はまあ時代的に見て大きな機体をしてはいけないレベルですが、当時世界最大の空母「サラトガ」の偉容と、往事の米海軍航空隊の勇姿を存分に堪能出来る映画ですので、艦好きと飛行機好きにはオススメです。個人的には「本当にサラトガはでかい(サイズ的には当然なんだけど、横に並んでいるトンボ吊りの駆逐艦の姿が、飛行甲板越しではマストしか見えない、という映像を見ると改めてその大きさが実感出来ます)」けど、「それでも着艦機は相当のサイズ」だし「複葉機だと上構からの後流の影響は確かにあるんだな」というのが分かります。れにぐるぐる回っている複座戦闘機(F8C-4)の映像を見れば、第二次大戦前まで単発複座の複座戦闘機や戦闘機任務を副次的に持つ艦爆・観測機というのが存在していた理由が首肯出来るなど、眼福な映像だらけで良き哉でありました。

 …日本海軍が宣伝用に赤城か加賀でこれの二番煎じの映画を作っておいてくれれば、艦の詳細も分かって良かったんだけどなぁ。アメリカはこの他にレンジャーとエンタープライズの綺麗な映像が出る映画があるから(レンジャーのは本当の広報用映画とはいえ)、羨ましい限りですよ、と。

世艦2014年11月号記事の訂正とお詫び

同書掲載の「従来型中口径砲エースたち」という記事を担当しましたが、
その中でイギリスのMk8型 114㎜砲のところで凡ミスをしていたので訂正を。

P86一段目1行目ですけど
 (誤)
 陸軍のアボット自走砲が~

 となってますが、これは完全な誤りで、

 (正)
 陸軍のAS.90自走砲が~

 が正しいです。今回も訂正の上で深くお詫び申し上げる次第です。

 …しかし、元資料にも「アボット」なる単語は一言も書いてないのに、
 何を勘違いして書いたのか。我ながら情けなき誤りです。

9/27追記:

 Twitterで「元のMk8の開発参考と勘違いしているのでは?」というご指摘を頂きました。
 改めて同記事を作成した際の主要参考資料としたJaneのWeaponsと、
 NIPのWorld Naval Weapons Systemsを確認したところ、これらにも「陸軍のアボット自走砲がMk8の開発時の参考に」という記載があるのを確認しました。

 多分これが頭に引っかかっていて、思いっきり勘違いしたのかも知れません。いや本当に情けないミスで、読者の皆さんには改めて深く陳謝させて頂きます。

 それとTwitterで誤記を含めてこれらの点をご指摘頂いたS殿には、心から感謝の意を申し上げる次第です。
 本当にどうも有り難うございました。

MiG Madness

 連綿と続く原稿〆切・講演会の準備等が漸く少し間隔が開くようになったので、何かの10周年とかを書く前に、リハビリがてらちょっとゲームの話でも。

 最近ゲーム機のゲームというと、2年前~1年半前に買ったシリーズ物しかプレイしてないような状況なのですが、先日XBOX360(現在我が家で可動する唯一のゲーム機)のインディーズ・ゲームを買ったら、割と面白かったのでそれの紹介を。

 そのゲームのタイトルは「MiG Madness」と言って、朝鮮戦争時のF-86 vs MiG-15を題材にしたシューティングゲームです。プレイヤーは押し寄せるMiGの大編隊を単機(一人モード)迎え撃ち、これを延々と撃攘するのが任務となります。ゲームとしては昔の「タイム・パイロット」みたいな感じでして、敵が落とす各種のパワーアップ・パーツを拾って旨くやると、クリアが容易になるとかもあるので、使いどころを適当に頭で考えながらやると、色々と楽しめます。多人数プレイにも対応しており、2~4人のプレイヤーで敵の大編隊迎撃の共同プレイが出来ますので、簡単な接待ゲームとしても適合するかも知れません。

MiG15

MiG Madness Trailer

上のリンクがそのゲームのトレイラーです。これを見て御興味が湧くようでしたら、価格が103円と安いこともありますれば、試供版をダウンロードしてプレイした後、これを購入されてみるのも一興かと思います。

因みに本職は、MiGを792機撃墜することを目標にして時々プレイしていますが、中々旨く行きませんね(笑)。

ナショナルアーカイブスの写真

 ここ暫くナショナルアーカイブスの写真の継続調査をして、美味しそうな写真の焼き付けを請け負っている外部業者に発注する、なんてことをしております。NHCへもそうですけど、ここの焼き付けは基本的にebayあたりで写真買うより安いんで良いのですが、こちらが調査した番号が間違ったのか、はてまた業者がコマを間違えたのか、空母ヨークタウン艦内の冷却室・冷蔵庫の写真とか、時々予期しない写真が来ることがあるのが困りもの(同じナンバーで試しに頼むと、また違う写真が来たりもします)。まあ何が来るのか分からない・時々面白い写真が来る、ということで、チト楽しんでいる部分もありますけど(笑)。

謎写真

 掲載した写真はその中の一葉で、1930年代撮影のアメリカの託児所かなんかの映像と思われる物。ナショナルアーカイブスにこんな写真があるのか、と違う意味で意味で感心した写真でもあります。

ご無沙汰しております

PAN_AM

 昨年末に身内に不幸があったもので、仕事をしつつ葬儀から四十九日、三月の御彼岸までその対応をしつつ、父親の入院対応などに追われて、思いっきりこっちのメンテをしていない状況にあります(実を言うとその途上で書いたネタが、いくつか未公開の中に埋もれております…)。

 年度も替わったのでご挨拶がてら書いておりますが、現状でも家人の入院対応が継続しておりますれば、当面は日記どころか季報を通り越しそうな。まあ年報にはしない&私事がこなれてくれば最低でも月報にしようとは思っておりますが、どうなりますことやら。

 …一応何かの10周年企画も計画・準備はしていますけど、それも出来るかどうかはこれからの状況に拠りますねぇ。

喪中につき

喪中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます。

昨年末に母が永眠いたしました。
本年中に賜りましたご厚情を深謝申し上げ、
明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます。

…というわけで、こっちでも例年恒例の神社AAは無しよ、と。

日本潜水艦史(新版)

 世艦の日本潜水艦史が20年振りに改訂されました。旧版に比べて写真が多い・興味深い写真もあるのに加え、旧版や丸スペで見た気がする写真でも、デジタル処理のお陰で綺麗に見えるというのは有り難いと、思いました。個人的には、要目でニヨニヨ出来る点がある・特中型は海軍が持て余していたズ式一号機関の再利用が先ず頭にある計画であるとかを中川先生にご注進したい気がする、等もありますが、そこらを含めても日本潜水艦スキーなら旧版所持者でも手を出して良いと思える内容だと思います。あとまあ、旧版と本文項の内容が被っていないので、旧版をまだお持ちで無い方は、この際ついでに古本を買っておくと幸せになれるかもしれません。

 …閑話休題、あの本の中では貴重なページを私の駄文にも阪さて頂く光栄に浴しておりますが、あれについてちょっと捕捉と修正を。九五式二型の弾頭形状ですが、基本的には米軍の戦後調査資料が言うように二型には尖塔型の「二型頭部」が付けられているとされています。尖塔型は元来九五式魚雷の一大欠点だった高速設定(49ノット)で自爆が多発するのを防ぐ目的で、浅深度設定(3m)航走時に弾頭部分で発生する空洞現象に起因する大振動発生を抑えることを目的として採用されました。この形状の弾頭装着により魚雷の流体性能が改善され、馳走速力が上昇する(米軍資料に拠れば、通例の場合で丸型頭部に比べて+2ノット程度)ことも期待出来ましたので、これは期待の高速魚雷であれば、この型式の弾頭を採用するのは当然と言えます。ただその一方で、二型の試験時の速力が一型の最高速度とされる49ノットを割り込む例も少なからず発生しているのも確かです。さらに本文でも記しました九二式方位盤の能力制限もあり、通常型の丸型頭部をもつ二型もあったと推測されています。本文では言い切った格好になっていますが。実際には推測が混じっていますのでここに追記の上でお詫びを申し上げる次第です。
 なお、九五式一型についても、戦争中に尖塔型頭部が採用されたと言われています。これは昭和一八年頭頃には採用されていたという話もあるのですが、この時期に平行して改修生産が進められていた九六式魚雷(馳走速度は殆ど九五式と一緒で、空洞化現象問題も同様に発生する)では尖塔型頭部が採用されていませんし、空洞化現象による自爆帽子のための浅喫水目標への攻撃制限が昭和一八年末期でも問題として認識されていることから見て、この時期には尖塔型頭部型があったとしても試験運用等の小数のみで、恐らく本格採用されたのは昭和一九年以降の話だと思われます(昭和一九年八月以降に小数生産された磁気信管装備の頭部が尖塔型なので、存在したのは確かです)。またそれ以降の磁気についても、「あ」号作戦後の潜水艦の大量喪失もあり、昭和一九年秋には九五式一型が相当数余っているので二型は生産しなくても良い、と言われる状況にもなっていることからみて、その九五式の在庫の中には相当数の丸型頭部のものもあったのではないかと考えています。

Harpoon Battlebook

H_B

 遅れましたが、高名なテクノスリラー作家であるトム・クランシー氏のご逝去の方に接し、ここに謹んでお悔やみ申し上げる次第です。

 …私個人はクランシーの作品で初めて読んだのは「Red Storm Rising」で、これで感銘を受けた後に映画の「レッド・オクトーバーを追え!」を見て更に良きかなと思い、さらに原作を読んでクランシーの作品に填まった口であります。その後も例の「日米開戦」までは良く読んでました。その前に出た潜水艦解説本のお陰で、良く言われていた「日本嫌い」なのが確認できてましたから、「日米開戦」があの内容でもまあ仕方ないかと思いましたが、あれで以後の作品は読む気は無くなりましたね。
 クランシーというと、その作品の戦闘シーン検証に使用されたウォーゲームの「Harpoon」の名前が挙がることも多いですが、同人誌としてHarpoon Battlebookの翻訳をやった時、序文のクランシーの文章が結構素っ気ない感じだったのを良く覚えています。クランシー自体はあれはあくまで初期作品の共著者でもあったラリー・ボンドの作品であり、字bnはその成立に関与していないとして、余りこれをクローズアップされるのは良しとしていなかったのかも、と思う本職であります。

 そんなこともありますが、ここではクランシーの文章を翻訳した経験もありますれば、Harpoon Battlebookの原著(カラー表紙)と、同人誌の日本語版(モノクロ表紙)の画像を並べて、故人の偉大なる業績を偲ばせて頂く次第であります。

故人の魂に永遠の安らぎがあらんことを改めてお祈り申し上げます。

世界の艦船7月号の記事についてのお詫び

 見本誌が届いたので読んでみたんだけど、字数が多すぎたらしく編集側修正で色々削除・修正されていて、筆者的に「え?」と思うなところがちらほらとorz。

一例を挙げると209型のところで、二番艦以降うんぬんのところが元は

「2番艦以降は韓国内でのノックダウン・ライセンス生産が行われたが、当初計画の最終的には全ての部材・部品を韓国で製造する予定は達成できず、機関を含む重要部材の多くがドイツから供給されて建造が行われた」

だったとか、RAM代替開発云々のところが元は

「現在も韓国の艦載兵器の国産化は、各艦に装備が行われている米製のRAM個艦防空SAMに変わるSAMの開発を含めて、精力的に推進されている。しかし上記の例のみならず、近年開発された韓国製新装備が陸海空問わずに様々な問題を発生させている状況から見れば、筆者には韓国の自国技術レベルに立脚しない拙速とも言える兵器の国産化が順調にいくとは余り思えず、むしろ韓国艦艇の戦闘力発揮におけるアキレス腱となる危険性をはらんでいるようにも思える」。

であったとか、ちょこちょこと文章の微妙なニュアンス含めて意味が変わっている・説明不足になってるところがあるな、という状況になっています(編集部で筆者の駄文を直して頂くのは、いつも大変有り難いことと思っております、でも大幅に直すなら一度下見・校正させて頂けないものでありましょうやとも思うのであります)。

 今回の記事については、そんな事情のほか、タイプミス含めて自分のミスもあるなど、著者として不出来に思えるところがありました。この件に付きまして、読者の皆様に深くお詫び申し上げる次第です。また今回の事態の発生には、当方のミスと筆者の原文が分かり辛かったためもあるかと思います。ここに合わせて「世界の艦船」編集部に対しても、お詫び申し上げる次第です。
 以前も書きましたが、以後原稿執筆の際にはより内容の精査をするとともに、誤解が生じない明瞭な文章を記すように努めますので、平にご容赦下さいますようお願い申し上げます。
 
 なお、この他の点について、読者の皆様方でお気づきの点がありましたら、ご指摘頂ければ幸いに存じます。

追記:

 本文中にK737型という謎の魚雷の名称が出ておりますが、あれは「改良されたK731型」です…。合わせてお詫び申し上げる次第です。
 (このミスは筆者の誤値が原因です。ただここも元文から結構変えられていて、文章の意味あいが…)。

 追記2:

 潜水艦の項目の頭に、現状就役艦12隻+KSS-3が2隻の建造と書いてありますが、現状は本文にあるように209型×9、214型3+6(3隻建造中)に、KSS-3型2隻が発注という状況です。
 誤解を招くような表現になっていて済みません。更に訂正の上、お詫び申し上げる次第です。

 追記3:

 P77のKDX-2の項目で、既に後期艦には赤鮫・天竜が搭載可能であるかに読めますが、KDX-2へのK-VLSの搭載と赤鮫/天竜の配備は現在進展中です。
 VLAは元々米製VLAの物の運用能力があります(本文の「垂直型アスロックの搭載は~」はこれに絡む物)これもお詫びの上、訂正する次第です。
 (しかし、本文色々弄られすぎていて、もはや何が何だか…)。

 追記4:

 揚陸艦のところで、元原稿にはあった旧米海軍のLST-1型の部分を削って、元原稿には無かった揚陸艇の話が編集部側で追記されています。
 ただし該当項目では、LCACのLSF-Ⅱ型(満載157トン)2隻が抜けています。
 (この部分のJane年鑑の記載が紛らわしいかで、恐らく追記される際に見落とされたのでしょう)。

世界の艦船2013年6月号記事の訂正

 P102のMk48魚雷の解説項の第一段目16~17行目の部分にあるMk48魚雷の速力・射程の説明の部分が、原文だと

 (誤)
 速力65ノットで射程2㎞

 となってますが、正しくは

 (正)
 速力65ノットで射程22㎞

 です。訂正の上、深くお詫び申し上げる次第です。
 (原文ではきちんと22㎞になっているんですが、
  編集の段階で抜け落ちたようですorz)。

 …世艦は著者校正無いからね…。仕方がないといえば仕方がないんだけどね…orz。

追記:

 上の訂正を書いている間に、かの高名な軍事研究者のJSF殿から「NIPの資料だと、65ノットで20㎞(22kyds)と書いてあったと思うんですが」というつっこみをTwitter上でいただきました。
 その資料は当方も見ておりましたが、今回はその数値が出た1996年に海軍が出した関連のレポートのうち、一番射程が長かったデータ(24kyds)を使ったため、かような差異が出ております。
 このためJSF殿の言われる65ノットで20㎞、というのも十分に根拠のある数字でありますので、こちらの方が間違っていて居る可能性も十分にあることを記しておく次第です。
 この点についてご指摘いただいたJSF殿に対して、お礼申し上げる次第です。

2024年3月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

書籍