Archive for the ‘日記’ Category

八八艦隊本、再度の訂正

 読み返してみて、また八八艦隊本の説明不足&誤記を見つけたので説明の追加と正誤を。
今回はP76の二段目にある新造時の「長門」型の砲弾の話。

 まずあれに書いた三年式徹甲弾という名称は正式なものではなくて、被帽徹甲弾のうち三年式被帽を付けたものを指しています。只の被帽徹甲弾だと、ボフォース式とかハドフィールド式とかシュナイダー式とかいろいろな被帽徹甲弾があって区別できないのと、旧海軍資料で三年式被帽付きの物を三年式弾と仮称している例があったので、それに倣いました。

 本題にはいると、長門の最初の被帽徹甲弾ですが、被帽自体は以前の戦艦と同じで三年式です(呉海軍工廠造兵部資料集成に三年帽を付けた新弾は一四インチ弾から一六インチ弾に進んだとあります)。本文の記載だと三年式とは別と捉えられますよね。どうも分かりづらくて済みません。

 ただし被帽は同型式ですが、本型用の物は同弾の装甲貫徹力増進のため、「長門」型の整備時期に開発が行われた八年式二号信管(大正八年八月内令兵14で採用の遅動式信管:遅動は恐らく0.1~0.25秒:20㎝砲以上の被帽徹甲弾用として採用)を付ける計画がありました。これの成績不良で旧来の三年式弾同様の三年式一号信管(弾底着発式:ほぼ瞬発)が付けられたので、旧来の砲弾同様早爆や不発弾、衝撃に弱く自壊しやすい砲弾となり、完全に満足できる性能は発揮できませんでした。

 …というわけで、P76二段目8行目の

(三年式一号信管:遅動時間0.25秒)は完全な誤りで、
(八年式二号信管を装備予定<遅動推定0.1~0.25秒>だったが、ほぼ瞬発の三年式一号信管を装備)
になります。

またそれに続く9~14行目を、

「それ以前の戦艦が搭載した同型の三年式徹甲弾より装甲貫徹力を含めて良好な性能を持つはずだったが、新型の信管が機構的問題から使用停止となった影響で、以前と同じ信管を装備したため、早爆を含めて旧来と同じ問題を抱えてしまい、完全に満足できるものにはならなかった」

に訂正させていただく次第です。

読者の皆様には再度陳謝する次第です。本当に申し訳ありません。

…つか、「金剛型」ではちゃんと説明していたのに、何でこんな説明不足&誤記をしたのだか。
以後こういうことが出来るだけ起きないよう、精進しないといけないと思うと共に、気をつけないといけないと反省する次第です。

高木先生からの御指摘&それに伴う八八艦隊本内容訂正

 八八艦隊本を読んだ「蒸気機関の碩学」であらせられる高木宏之先生から、機関についての怒りの訂正メールを貰った次第。色々と指摘されたんだけど、取り敢えず、こちらの手持ち資料の記載と合わないのを除いた下記二点を御紹介。

高木先生からの御指摘(1):

>P96

>加賀・天城両型の主機が艦本式のように読めますけど、

>両型とも技本式で、パーソンズ・インパルス・リアクション式に

>直並列制御を加味したもので、後年のいわゆる艦本式とは

>名称も方式も異なります。

>あと「愛宕」だけでなく「加賀」もブラウン・カーチス式です。

 本文で長門の機械を艦本式と書いたように、艦本式と一般的に記載されることが多いのでそれに従った・技本と艦本の記載がごっちゃになるのがイヤ、等の理由もあって、本文では艦本式と記載しましたが、高木先生の御指摘が全面的に正しいです。

 

 …下段の「加賀」はブラウン・カーチス式という御指摘については、こっちの参考資料だと技本式とされているので、断定できませんが両説あると言うことでしょうか。「加賀」型のうち「土佐」はパーソンズ式、という説もあるので、この両者はどっちも技本式じゃない可能性もあるわけですね。これは以後良く調べないといけないなぁ、と思った次第です。

上を書いた後の追記(2011/8/4):

上を書いた直後に、高木先生から送られて来た旧海軍資料に、空母改装後の「加賀」の機械は「ブラウン・カーチス式」と明記されていましたことを御報告する次第。というわけで「加賀」の機械は技本式ではなくてブラウン・カーチス式で間違いありません。高木先生、わざわざ資料を送っていただき、本当に有り難うございました。

高木先生からの御指摘(2):

>P97上

>天城型は5缶室でなく6缶室です。

 これは完全なこちらの記載ミス&チェックミスによる見落としの結果の誤記です。誠に申し訳なき次第です。これに続く煙突の下りも、「前部煙突が前の缶室三室、後部煙突が後ろの缶室三室を受け持つ」となります。

 以上2点につき、読者の皆様方に訂正の上、謝罪申し上げます

 また御指摘戴いた高木宏之先生には、こちらでも感謝申し上げる次第です。

 この他の点については、今度高木先生と一緒にお酒を飲む&資料を見せてもらいながら、良~く説教を喰らって目からウロコを落とそうと思います。内容について確認できたら、またここで御報告いたいと思います。

学研 八八艦隊計画

 毎度締切に追われる中で、題記の本が届いたので読んでみた次第。

…企画決定からもの凄い短納期で仕上げた割には、良く纏まったなぁ、と思える出来ではあるかなぁ。ただ「長門型Ⅱ」の企画だったのが、気がついたら「八八艦隊」になっていたので、題記の本としてはちょっと未消化部分があるかなぁ、というのが本音。できれば巡洋艦以下の戦備や計画ももう少し掘り下げて書きたかったですね。

 あと今回の本、校正が完全に反映されてないようなので、一部おかしいところが生じています。取り敢えず気がついたのが、第三章の「加賀型と天城型」の章のP94の二段目9~19行目で、

元文章:

この両型が採用した連装砲塔は、外見的には「長門」型と大差はなく、砲の仰角も同一とされる。「加賀」型の物は最大仰角が三五度に増大されたとする資料もあるが、砲術側の資料にはこれを裏付けるものが無く、「A一二七」の原案である「A一二六」~「A一二六c」では最大仰角三〇度であることが確認できるので、筆者は「加賀」型も三〇度のままであったと考える。

改訂後文章:

この両型が採用した連装砲塔は、外見的には「長門」型と大差はないが、最大仰角は三五度に向上したとする説がある。だが「加賀」型原案の「A一二六」各案および「A一二七」の図面と、単煙突となった「軍艦天城・赤城 一般艤装図」の図面では、砲の最大仰角は三〇度となっている。これから見て、この両型の砲の最大仰角は「長門」同様に三〇度だったと思われる。

 …という案配です。

 あと所々、P81三段目14行目/30行目やP81四段目18行目、P85二段目の26行目等々で

「軍令部および用兵側で~」という記載が散見されますが、「軍令部および艦隊を含めたその他の用兵側~」を詰めた結果、おかしくなったようです(素直に「艦隊側」と書けば良かったな、と反省)。軍令部も用兵側ですから、この表記だとおかしいですよね。ここに訂正の上に謝罪させていただく次第です。

 この他にも、なんか修正点等を見つけましたら、ここにまた書きたいと思います。

世界の軍用機File

 …ここ三ヶ月やたら仕事が混んでいて大変な状況なのだが、本日題記の本が届いたので、ちょいと読んでみた次第。

 うーん、やっぱり前の本が出てからあんまり経っていないだけに、一応書き足し・書き直しをしたとは言え戦闘機編の部分が気になるな、とか(これは元々の企画を立てた版元からの要求でもあったけどね)、色々思うところも多いのだけど、取り敢えず出たのは良き哉、としておきましょう。

 …しかし、今回も編集側の不可解な修正は健在だとはまさか自分が書いた文章と正反対の意味の文章にされたところまであるとは、思いもよりませんでしたよ、と(Id○y◎shi殿<仮名>、貴方の予測は大当たりでしたよorz)。

 それはどこかというと、J-8II(P76-77)の部分。
 その中のP76の10~12行目が

 「本機の飛行性能はF-4に近く、完成後FCSの改正・
  新型AAMの装備など様々な近代化が実施されたものの、
  その能力は第四世代ジェット戦闘機とは
  比肩できないほど高い」

 となっていますが、原文は

 「本機の飛行性能はF-4に近い物で、完成後FCSの改正・
  新型AAMの装備など様々な近代化が実施されたものの、
  その能力は現用の第四世代戦闘機と比肩しうる物ではない」。

 …だったのですよorz。

 あとトランザールC.160の文内見出し②が

 「電子戦機や給油機などに改造」

 とありますが、こんな事実は無いよね?、とか前回同様担当外のトコで、細かいミスが散見されるのも確か。
 
 …とはいえこちらの見直しが足りなかったのも原因なので、本文中の誤記や誤解を招く表現・日本語にもややおかしい部分があることを含めて、今回もまた読者の皆様方には、深くお詫び申し上げる次第ですm(__)m(…再版できるようなら、これももう一度全面見直しだなぁ)。
 
 先の本と同様に、この本についても何かほかにも気になる点が目についたら、また手隙の時にウダウダと書こうかと思います。 

町内会の広報誌

 本日は調子が悪かったので、現在進行中の本の原稿を書くのをやめて、町内会の広報誌を取り纏める作業を実施。毎年同じような内容の広報誌を書くのは飽きてきているので、妙なイラストを入れたりしてみる。これで「お前は首だ」と町内会の職を退けると嬉しいのだが、中々そうはいかないのが難点だ┐(´-`)┌。
 町内会の連絡事項だけでなく、役所から依頼されて節電やら防犯やらの啓蒙記事も、渡された資料を元に適当にこっちで取り纏める訳だが、少しは降下があればいいなぁ、とも思うのであった。

 さて、そろそろ某社の本が出るはずだが、校正で指摘された&指摘した点、直してくれてると良いなぁ、と思う次第。直ってなかったら、また懺悔日記を書くので宜しくお願いします。

第二次ソロモン海戦における「龍驤」の被弾箇所

 第二次ソロモン海戦で喪失した「龍驤」の魚雷・爆弾命中数は諸説ありますが、某所で日本側で纏めた同艦の被害状況図が発見できたので、それを元に「龍驤」の被害を見てみましょう。

爆弾命中箇所①:

この図だと前部エレベーター右側中央・飛行甲板の間の位置で火災が発生しています。米側の記録にある第三偵察隊のクロウ少尉機の投弾・命中箇所と合致しますので、これが最初の命中弾でしょう。

爆弾命中箇所②と③:

 米側資料では、「サラトガ」飛行長のフェルト中佐機と、第三爆撃隊第二中隊長のボットムレイ大尉機が「龍驤の」中央部に爆弾を命中させた、とあります。日本側の被害図でこれに該当しそうなのは、まず右舷一番煙突横の飛行甲板にある破口で、この位置だと恐らく煙路もやられています。あともう一発は判然としないのですが、右舷の一・三番高角砲座の中間位置に命中位置を示す○らしき物が見えるので、これが該当するのかも知れません。

爆弾命中箇所④:

 左舷四番13ミリ機銃座前方の第六作業員詰(?)所右側の火災発生箇所が、ボットムレイ大尉機に続いて突入したアイサーマン少尉機が「龍驤」の後部に命中弾を与えた、という記録に該当するものと思われます。

 因みに日米共に「至近弾多数」と言っている様に、この被害図でも艦の周囲に多数の至近弾が生じていることが記載されていますので、これによる被害も相当あったのではないかと思われます。

魚雷命中箇所①:

 戦史叢書の「南東方面海軍作戦(1)」の記載だと、「龍驤」は左舷中部に魚雷一本を受けたことになっています。これに対し、米側は昔から「右舷に当てた」と主張しています。私が「ソロモンの激闘」を執筆した際は、当てられた方の既述が正しいのじゃろ、と考えて「左舷側に魚雷一本命中」と記載したのですが、この被害状況図を見ると、見事に右舷中央部に当たっております\(^o^)/。ここに読者の皆様方にお詫び申し上げると共に、訂正させていただく次第。

 因みに魚雷の命中箇所は、右舷三番12.7㎝高角砲砲座の下の部分で、艦内には兵員室とか高角砲弾薬庫があります。

魚雷命中箇所②?:

 「サラトガ」の第八雷撃隊は、この攻撃の際に右舷側に更に二本魚雷を命中させたと主張しています。これは公式記録では「不確実」とされ、日本側の資料では無視されるのが常です。ところがどっこい、被害状況図によれば、右舷艦尾に(?)付きですが、もう一個魚雷の命中箇所が記されています。
 至近弾による被害を魚雷命中と勘違いした可能性もありますが、良く言われる「艦尾への至近弾により、舵機が破壊された」というのは、この魚雷命中による被害かも知れませんね。

「軍事研究」誌2011/4月号掲載記事に関する訂正とお詫び。

という訳で、ついったーで予告したとおりに恥ずかしい間違いの懺悔を。

 本日発売の「軍事研究」誌に「中国の最新ステルス機J-20と、戦闘機開発のあゆみ」という本職が担当した記事があります。
 その中でP49一段目のあたりにJ-8Fを扱った項目がありますが、ここを執筆している時に参照した資料が二冊とも初飛行年度は書いてあるのに、配備開始年度が書いてなかったんで、「この両型が(J-8Fと偵察型のJZ-8F)が何時から配備されたのかは確報がない」と書いたつもりだったんですが、編集部に原稿を送ってから数日後に読み返したら、「何時から」の部分が抜けていて、J-8FとJZ-8Fの配備が為されていないような文章になってしまっております。実際にはJ-8Fの配備は2003年から開始されていますので、これは完全な誤記であります。

 あとP48一段目のJ-8Dの解説項で、「本機に空中給油機能と中国戦闘機として最初に完全なIFRによる飛行能力を得たJ-8Ⅳ(J-8D)」という意味不明な文章がありますが、これも原稿執筆後の修正時の読み返し不足による誤記でして、「本機に空中給油装置を付け、中国戦闘機として最初に完全なIFR(空中給油)による飛行能力を得たJ-8Ⅳ(J-8D)」というのが正しい内容になります。

 該当記事で当方の凡ミス&調査不足による誤記及び誤解を招く表記をしたことに付き、軍研編集部と該当号の読者の皆様方に対して、この場で謝罪申し上げる次第です。この件については心からお詫び申し上げると共に、爾後この様なことがないよう執筆時により注意を払うようにし、また更なる研鑽を重ねる様にしたいと思う次第であります。

「アメリカの空母」用の写真

 HDDを掃除していたら、「アメリカの空母」執筆の際に同書で使用するため、個人的に購入した米空母の写真がゾロゾロと出てきた次第。思えばあの本を出してからもう5年経った訳で、写真を眺めていて改めて月日が経つのは早いなぁ、と思いました。

 因みに上の外輪空母の写真もその時買った物です。はい、あの本の当初企画では、外輪空母の項があったんです(笑)。総ページ数が決まっている雑誌扱いの本なので、他の項を優先するために没になりましたけどね。

 …因みに前回予告したサマール沖の話は旨く纏まらないので、また次回ということで。

明けましておめでとう御座います。


 旧年中は皆様に大変お世話になりましたことを感謝いたします。本年も宜しくお願い致します。

 アレとかコレとか、書かなきゃいけないことが幾つかある気がするのですが、12月初旬から猛烈な風邪を引いだ結果、仕事やらなにやらが滞った影響もあり、例によって日記の更新が順調に遅れております( ^.^)( -.-)( _ _)。取り敢えず今回は、現在進行中のヒミツPJ用の写真を一枚貼って、これについての不退転の決意を新たにしようかと思います。

  閑話休題、先日丸の2月号が発売されまして、それの付録に「大戦艦『大和』メカ読本」という小冊子が付いてございます。はっきり言ってこの値段で入手できる「大和」の資料としては出色の出来でありますれば、「大和」に興味のある方には御購入をお勧めしておく次第。

 さて、その中で本職が担当いたしました「サマール沖海戦における『大和』の砲戦能力」というどうでも良い記事があります。この記事では丸にしては珍しく、元原稿の漢数字をアラビア数字に置き換えられています(横組みであれば、アラビア数字の方が読みやすいですしね)。ただその影響で、P73一段目の37行目が元原稿では「敵空母一(いち)ニ(に)命中弾、黒煙アガルヲ認ム」だったのが、「敵空母12命中弾、黒煙アガルヲ認ム」になるという誤記が生じておりました。ここにお詫びの上、訂正させていただく次第(…編集するPCの画面上で、「一ニ(1に)」と「一二(12)」の区別がつかないのは無理もないだろうなぁ。次回からはルビ振って誤解の無い様に気をつけるようにします…)。

 …あとこの記事については、ちょっと内容的に補足したいことがありますが、それは次回と言うことで。

ちょいと愚痴ってみる

 

March ARBにあるMuseumで、屋外展示されているF-84F

 例の本を見返すと、各機の見出しの所にある機体の横文字表記に間違いがあるのにも気付く。

 …確か校正の時、ここらの間違いも指摘した記憶があるんだが…。誌面構成やり直した、とかいう話もあったから、それで忘れ去られたかな…。

 てか、キャプションも指摘したのが反映されていないのがあるな…。こーいうのがあると、やっぱりへこむねぇ。

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 …つーわけで、ざっと見た限りの機体の名称間違い一覧。

F-84   :(誤)「THANDERJET/THANDERSTREAK」
       (正)「THUNDERJET/THUNDERSTREAK」
F9F系列 :(誤)「PANTER/COUGAR」
        (正)「PANTHER/COUGAR」
F3H    :(誤)「DAEMON」
        (正)「DEMON」
MiG-21  :(誤)「FISHBET」
        (正)「FISHBED」
F-111   :(誤)「ARDVARK」
        (正)「AARDVARK」
MiG-23  :(誤)「FROGER」
        (正)「FLOGGER」  

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本日の正誤表:

P93の11行目:「イギリスの『スカイフィッシュ』、」→:「イギリスの『スカイフラッシュ』、」

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