嗚呼原子力潜水艦

 2010年9月号の「旧海軍の伝統が香る戦後国産タイプ(このタイトルを考えて戴いた編集部の方に、御礼申し上げます)」の中で、昭和三〇年に防衛庁が行った「潜水艦の独自整備に関する研究」の中で、「原子力潜水艦の建造が可能であるか」についての物もあったことを触れています。

 これについての防衛庁の公式見解は、「我が国で原子力潜水艦を建造すること、保有することは法的に見て問題はない」というものでした。但し当時の情勢から、「原子力潜水艦の建造は、予算や技術的問題もあって時期尚早」とされたので、当面は通常型潜水艦の整備を行う予定とされました。因みに海外では、この見解は「将来日本は原潜を造る」ものとして受け止められ、Janeとかでは結構長い間、「日本の原潜保有計画」の話が忘れた頃に飛び出てくることにもなります(昭和五〇年頃に軍事評論家の故・青木日出雄大先生曰く、「日本が原潜を持たないのと、核武装しないのは、世界の軍事情勢の七不思議の一つとして捉えられている、と言われていたこともありましたっけ…)。

 日本の原潜保有は今なお夢物語でしかありませんが、まあその昔にそんな話もあったと言うことで。

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