第二次ソロモン海戦における「龍驤」の被弾箇所

 第二次ソロモン海戦で喪失した「龍驤」の魚雷・爆弾命中数は諸説ありますが、某所で日本側で纏めた同艦の被害状況図が発見できたので、それを元に「龍驤」の被害を見てみましょう。

爆弾命中箇所①:

この図だと前部エレベーター右側中央・飛行甲板の間の位置で火災が発生しています。米側の記録にある第三偵察隊のクロウ少尉機の投弾・命中箇所と合致しますので、これが最初の命中弾でしょう。

爆弾命中箇所②と③:

 米側資料では、「サラトガ」飛行長のフェルト中佐機と、第三爆撃隊第二中隊長のボットムレイ大尉機が「龍驤の」中央部に爆弾を命中させた、とあります。日本側の被害図でこれに該当しそうなのは、まず右舷一番煙突横の飛行甲板にある破口で、この位置だと恐らく煙路もやられています。あともう一発は判然としないのですが、右舷の一・三番高角砲座の中間位置に命中位置を示す○らしき物が見えるので、これが該当するのかも知れません。

爆弾命中箇所④:

 左舷四番13ミリ機銃座前方の第六作業員詰(?)所右側の火災発生箇所が、ボットムレイ大尉機に続いて突入したアイサーマン少尉機が「龍驤」の後部に命中弾を与えた、という記録に該当するものと思われます。

 因みに日米共に「至近弾多数」と言っている様に、この被害図でも艦の周囲に多数の至近弾が生じていることが記載されていますので、これによる被害も相当あったのではないかと思われます。

魚雷命中箇所①:

 戦史叢書の「南東方面海軍作戦(1)」の記載だと、「龍驤」は左舷中部に魚雷一本を受けたことになっています。これに対し、米側は昔から「右舷に当てた」と主張しています。私が「ソロモンの激闘」を執筆した際は、当てられた方の既述が正しいのじゃろ、と考えて「左舷側に魚雷一本命中」と記載したのですが、この被害状況図を見ると、見事に右舷中央部に当たっております\(^o^)/。ここに読者の皆様方にお詫び申し上げると共に、訂正させていただく次第。

 因みに魚雷の命中箇所は、右舷三番12.7㎝高角砲砲座の下の部分で、艦内には兵員室とか高角砲弾薬庫があります。

魚雷命中箇所②?:

 「サラトガ」の第八雷撃隊は、この攻撃の際に右舷側に更に二本魚雷を命中させたと主張しています。これは公式記録では「不確実」とされ、日本側の資料では無視されるのが常です。ところがどっこい、被害状況図によれば、右舷艦尾に(?)付きですが、もう一個魚雷の命中箇所が記されています。
 至近弾による被害を魚雷命中と勘違いした可能性もありますが、良く言われる「艦尾への至近弾により、舵機が破壊された」というのは、この魚雷命中による被害かも知れませんね。

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