Archive for 11月, 2010

ちょいと愚痴ってみる

 

March ARBにあるMuseumで、屋外展示されているF-84F

 例の本を見返すと、各機の見出しの所にある機体の横文字表記に間違いがあるのにも気付く。

 …確か校正の時、ここらの間違いも指摘した記憶があるんだが…。誌面構成やり直した、とかいう話もあったから、それで忘れ去られたかな…。

 てか、キャプションも指摘したのが反映されていないのがあるな…。こーいうのがあると、やっぱりへこむねぇ。

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 …つーわけで、ざっと見た限りの機体の名称間違い一覧。

F-84   :(誤)「THANDERJET/THANDERSTREAK」
       (正)「THUNDERJET/THUNDERSTREAK」
F9F系列 :(誤)「PANTER/COUGAR」
        (正)「PANTHER/COUGAR」
F3H    :(誤)「DAEMON」
        (正)「DEMON」
MiG-21  :(誤)「FISHBET」
        (正)「FISHBED」
F-111   :(誤)「ARDVARK」
        (正)「AARDVARK」
MiG-23  :(誤)「FROGER」
        (正)「FLOGGER」  

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本日の正誤表:

P93の11行目:「イギリスの『スカイフィッシュ』、」→:「イギリスの『スカイフラッシュ』、」

アルゼンチン海軍のF9F

 今日は私用で外出・その後来客数件の予定が入っていて仕事にならんので、昨日に引き続き例の本についてちょっとだけブツブツと。

Yanks Museumでレストア中のF9F-8P

 

 本書のF9Fパンサー系列の項では、アルゼンチン海軍で使われた同機は空母運用されていない、と書いています。これに対し、Wiki等では「インディペンデシアでは運用できなかったが、ヴェインティシンコ・デ・マヨ(長いので以下日本語訳の「5月25日」号に略)では、1972年に航空団の主力がA-4Qに代替されるまで、F9F系列が使用されたことになっています。一方Conwayの軍艦年鑑戦後編では、インディペンデシアでも運用がなされたような記載があります。

 そんな中で、私が本書で「運用していない」説を取ったのは、書きのような点を勘案した結果であります。

○割と最近に出た「Grumman F9F Panther/Cougar(Brad Elward:Specialty Press)」を含めて、F9F関連を扱った書籍の記載を見ると、アルゼンチン海軍は1969年中にF9F-2を退役させている、とされています(5月25日号で運用している、と書いている英語版Wikiでも、F9Fの項では1969年退役と書いてありますね)。また世傑を含めたこれらの資料の中には、アルゼンチン海軍のF9F系列の機体は、「インディペンデシア」及び「5月25日」号では運用されていない、とする資料も実際に存在します。

あとこのページですと

http://www.fuerzasmilitares.org/articulos/20090823%20Alas%20sobre%20el%20Mar%20(Arg).html

★5月25日号の艦隊就役は1970年8月11日
★F9Fの搭載が予定されていたけど、既に旧式化していたのでその代替機の選定が行われた

 様なことも書いてあります(私のスペイン語の読解力は、確実にオンライン翻訳より低いので、間違っている可能性は否定しません)。

 これらの点から見て、1969年8月にオランダでの修理を完了、9月に本国への廻航の途へ付いた「5月25日」号が、訓練を終了して艦隊に編入されるまでの期間において、F9F-2を運用するのは無理がある、と判断しました。

○インディペンデシアがF9Fを本格運用したことがないのは、同艦のカタパルトの能力から見て無理があるので、問題なしと見て良いでしょう。同艦の来歴に触れた「The Colossus-Class Aircraft Carriers:1944-1972(Neil McCart:FAN PUBLICATIONS)」等の資料でも、同艦がF9Fを本格運用した、という記載は見受けられませんしね。
 但し軽量状態であれば発艦出来ない訳ではなく、少数回のようではありますが、TF-9Jと共に適合試験・訓練等で発着艦を実施した例は実際にありますし、写真も残っています(因みに同艦の制動装置は豪州海軍のメルボルンと同型の物で、F9F程度の着速・重量の機体の運用には充分な能力がありました)。Conwayの記載はここらのことを指しているのだろうと思います。

○Wiki等を含めて、5月25日号はF9Fの後退翼機型であるクーガー系列を運用した、と書いている資料もあります。これについては、アルゼンチン海軍が購入したのは練習機型のTF-9Jで、機数も2機のみですから、これを空母航空団の戦闘機・攻撃機兵力の中核として運用するのには無理があると思い、書内でも特に記載はしていません。ただ同機は1971年に退役するまで、インディペンデシアや5月25日号で発着艦試験・訓練等には従事していました(これも写真が残っています)。「5月25日号で、F9F-8クーガーが運用された」というのは、これに起因する誤伝ではないかと思われます。

 なお、これにつき、「いやちがう、この両艦でのF9F運用の記録は実在する」といった情報をお持ちの方が居られましたら、御一報いただければ幸いです。

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以下本日の訂正

○F-105の項における修正:

 (P67/10行目)

 (誤)「就役直後に空軍の核ドクトリン(戦術)が見直され」
     ↓
 (正)「就役直後に空軍の核ドクトリン(運用の基本原則)が見直され」

 (P69/2行目)

 (誤)「ソ連製『アイアンハンド』と呼ばれた」
    ↓ 
 (正)「『アイアンハンド」と呼ばれた」

 …まだまだあるなぁ。やっぱり正誤表一覧作って、HPで公開するかな…。

見本誌を読む

March AFB(現ARB)のミュージアムで屋外展示されているMiG-19

 某G社から「世界のジェット戦闘機FILE」なる本の見本誌が届いたので読んでみる。

 企画が出た時、一機種あたりの文字数が異様に少ないのでどうなるかと思ったが、出来上がったモノを読んでみると、一応それなりに纏まっているのでまあ良き哉、とも思う(ネタばらしすると、この本は見開き項の文字数は原稿用紙一枚、4P項はその倍以上あるが、それでも文字数書きたがりのライターとしては泣きたくなるくらい少ないのだ)。少々問題もありますが、御興味のある方は、コンビニあたりで見掛けたら手にとって御覧の上、御購入を検討していただければ幸いです。

 この本については、校正項が出た時、編集側が直した点の多くが間違っていたこと、校正項で見ることが出来た人様の書いたキャプションが色んな所で間違っていたので、かなり気合いを入れて修正したのも良い思い出(嘘)。とはいえ編集側修正の部分等含めて、見直しが足りなかったのも確かで、誤記や誤解を招く表現・日本語がややおかしい部分が残っちゃったのは大いなる反省点。予め読者の皆様には謝罪させていただく次第ですm(__)m。

誤記とか問題のある表記の例:

○第二世代機の解説で、
 「実際にはF-15、F-16世代の機体が登場する以前の超音速機は、全て第二世代機に分類されていた」とあるけど、もとの文章は
 「実際に昔はF-15/F-16世代が登場する以前の超音速戦闘機は、全て第二世代に分類していた」で、「昔はそう分類されていたこともあった」という内容でありました。

○F-14の項で、A型のエンジンを換装したB型(A+型)の説明をしたあとで、「92年にB型のFCSとエンジンを換装した本格的な性能向上型のD型が配備された」とあるけど、D型とB型(旧A+型)のエンジンは同一ですね(これも原文ではFCSの換装だけだったのだけど、修正を見落とした本職が悪いのさ)。

○Su-35の本文項では、字数もあって現在のSu-35(T-10BM)の記載しかしなかったけど、写真に使われた最初のSu-35(T-10M)の説明が無いので、キャプションの記載では関係が良く分からないよね。「軍事研究」誌に掲載されたSu-35の記事で書いたけど、T-10M(Su-27M/初代Su-35)とT-10BM(現Su-35)は完全な別物です。

 …まあ余り長くするのもこの辺で。この本については、手が空いたらまたブツブツと内容の補足みたいなことを呟くかもしれません。

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