エルリック・サーガの新作

画伯も大好きなエルリック・サーガの新三部作がハヤカワから翻訳・刊行されたので、取り敢えず読んでみる。…エルリック・サーガ(7)の「真珠の砦」が出た時、ヒロインがエルリックの子供を宿した、と最後に書いてあったから、いつかこれを伏線にした話が出るんだろうなぁ、とは思っていたが、実際に出てきたので何だかなぁ、という感じはしますね(笑)。

話はヒトラー政権下のドイツを軸にして、ムアコックのヒーロー譚で毎度おなじみの多元宇宙をエルリックとその娘、「永遠の戦士」の分身の一人であるフォン・ベック伯が黒い剣と聖杯を求めて彷徨い、第二次大戦時の地球を含めた多元宇宙の世界を救うという物。さらっと読んだ限りでは、まあ古来よりエルリック・サーガのファンである方の場合、以前の作とは別物だと思って読む必要もありますが、概ね悪くない話とは思います。但し英国の戦いにメルニボネの龍が出てきて、ドイツ空軍を撃滅するのはやりすぎだと思うぞムアコック(笑)。「薔薇の復讐」等に出てきた悪役である「呪われしゲイナー公子」が何故呪われたのかなども本作で明らかになりますが、そこら辺も含めて個人的にはまあそれなりに面白いかな、と。
ただムアコックの新シリーズが出ると良くある旧作との整合性が取れなくなるのは今作も健在で、同様に第二次大戦時のドイツを舞台の一つとしたエレコーゼ・サーガの「剣の中の竜」の記載と見事に整合が取れていない部分があります(笑)。

今作で個人的にちょっと残念だったのは、「アリオッチ→アリオッホ」を始めとして、旧訳版エルリック・サーガで使用した名詞を改編しているのが少なからず見受けられる点と、訳語の統一が出来ていない感があることを含めて、旧訳版より翻訳がこなれていない感があることですかねぇ(訳者は同一なんだけどねぇ)。

あとナチス・軍事用語の翻訳について、軍事史学会の方が支援した、と言う割には誤訳が散見されるのも個人的には些かマイナス評価(スツーカのGunnerを「砲手」と訳してあるのを見てもニヤニヤするだけですが、ドイツの「擲弾兵」を「爆弾兵」と訳すのは流石に…(´ヘ`;)。

まあ全般的に見て、ヒロイックファンタジーとしては概ね良くできている作品ですし、読んでいてそれなりに面白いことも確かなので、この手の作品が好きな人は御一読されても良いかも。

さて、それでは早速画伯に廻すとしようかの。

2 Responses to エルリック・サーガの新作

  1. おがさわら より:

            lヽ ノ l        l l l ヽ   ヽ
      )’ーーノ(  | |  | 、      / l| l ハヽ  |ー‐””l
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  2. kotsuka より:

     ば、爆弾兵だっ(笑)。

     …ここにもコメント表示の承認可・付加の機能があったとは知りませんでした。
    朝承認待ちメールを見てちょっとびっくり。

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