ファンによるファンのための設定

 昨日のエントリーで、ちと思い出したことがあったので、ボバ・フェットに関して1エントリー書いてみることにする。
 ボバ・フェットはスターウォーズに登場した、ジャバ・ザ・ハットお抱えの賞金稼ぎである。全身をアーマーに身を包み、背中にジェットパックを背負ったクールな賞金稼ぎは、EP5の終盤に登場するや否や、ファンの間で大人気となった。なぜに大人気になったのか、いまいちピンとこないが、一匹狼の賞金稼ぎとか、そういう設定がアメちゃん好みなのかもしれない。メタルギアソリッドも、アメリカでは大人気だったしな。
 EP6は彼とルークたちの死闘が描かれることを、ファンたちは信じて疑わなかったが、実際フタを開けてみるとEP6におけるボバの活躍シーンはほぼ皆無であり、それに加えてあまりに情けないその最後(サルラックの巣穴に落ちて終了)に、ファンは激怒。着ぐるみ大活躍と共に、EP6不評の原因のひとつとなった。EP2におけるジャンゴ・フェットの活躍は、その罪滅ぼしともいえなくもない。
 スターウォーズには、スピンアウト小説と呼ばれる二次創作があまた存在する。その中では登場人物を主人公とする外伝的作品があるが、ボバ・フェットはここでも一番人気だ。そうして多くの手によって作られてた作品群は、やがて独自の設定を作り出し、それは時にオフィシャル設定と反するものとなる。なんとスピンアウト世界のボバ・フェットは、サルラックの巣穴から生還したことになっているのだ!

http://www.starwars.jp/character/bountyhunter1.html#boba_fett

 もちろんルーカスは、ボバ・フェットは死んだとはっきり明言している。しかし、こういうものはえてしてファンの支持を取り付けたほうが、真とみなされるのだ。
 日本においても、これと同じ現象が存在する。無印ガンダムにおけるジムの性能評価だ。
 1年戦争で卓越した性能を誇り、あまりの完成度に改良の必要もなく戦後7年たって、マイナーバージョンアップであるジム2が使用されているとは、オフィシャルであるZガンダム内の設定である。
 対して、ゲームグラフィック誌内の企画としてスタートしたガンダムセンチネルでは、1年戦争時には、ドム、ゲルググより全然劣るヘッポコピーなMSだったが、戦後の改良を経てやっと完成形となったとしている。オフィシャルにケンカを売るような設定なのだ。後に0083へと発展するセンチネルのこの設定は、ファンの大きな支持を得た。というか、現在もファンの間で認められているのは、このセンチネル設定だ。そこにはカトキデザインのジムがかっこよかったことと、そもそも0083自体の作品の人気が後押ししているとは思うが。
 にしても、カトキデザインのジム、ありゃ全然分かってないよなあ。正直、戦争に勝つ国の作る兵器のデザインではないのである。まるでドイツ戦車だよ、あれじゃ戦争には勝てないよな。
 その点、山根公則デザインの08小隊の連邦MSは素晴らしい。まんまシャーマンなんだもん。名前もEz8だしな。

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  1. CSAとKRAの中の人

    世の中は広いようで意外と狭い事を実感しました。
    パラド系繋がりで、再びお会いできるとは思いもよりませんでした。
    お久しぶりです、主任。

    まぁそれはさておき、Ez8の名前とデザインを初めて見た時は
    私も絶妙のネーミングだと感心したものです。
    連邦のMSとはかくあるべし、と思いました。

  2. Slipperman

    え! クラクフAARの中の人なの! 誰だかさっぱりわかりません。ハンドルの頭一文字でいいからヒントをプリーヅ

    Ez8は、ガンダム伝統の胸のエアインテークを廃止しただけでも金星ですよね。だいたい陸戦兵器のくせに、あんな一番被弾率の高そうなところに、脆弱な部位を作ってどうすると。オレがザクのパイロットだったら、まっさきにあそこ狙って撃つよ。
    あと、ツノを廃したりと、ガンダムの歴史に残るはずの不格好さだったのですが、ヒゲの登場できれいさっぱり忘れ去られてしまったのでした。

  3. ただ、あの見た目はA3E8というよりA3E2という気がします。>EZ8

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